国内外の未利用材を福井県に集約、バイオマス発電で7万世帯分の電力に自然エネルギー

原子力発電所が数多く集まる福井県の沿岸地域で、発電能力が37MWに達するバイオマス発電所の建設プロジェクトが始まる。全国で再生可能エネルギー事業を展開する丸紅グループが初めてバイオマス発電に取り組む。国内と海外からも未利用材を集めて、2017年の夏に運転を開始する予定だ。

» 2015年03月02日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 東洋紡の敦賀事業所。出典:福井県産業労働部

 丸紅グループがバイオマス発電所を建設する場所は、福井県の敦賀市にある東洋紡の「敦賀事業所」の構内だ(図1)。フィルムや医薬品などを製造している工場で、2万2000平方メートルの遊休地を丸紅グループが賃借してバイオマス発電所を建設する。

 発電能力は木質バイオマスでは最大級の37MW(メガワット)に達する。一般家庭で約7万世帯分の電力を供給することができる。年間の発電量は2億5000万kWh程度になる見込みで、固定価格買取制度を通じて売電すると年間に約80億円の収入を想定できる。2015年11月から建設工事に着手して、2017年の夏に運転を開始する予定だ。

 燃料には国内と海外から集めた未利用材を木質チップに加工して使用する。発電所の建設予定地は敦賀港から1キロメートルほどの至近距離にあって、船による物資の輸送に便利な場所である。敦賀港は福井県が推進する「エネルギー成長戦略特区」の構想でもエネルギーの供給拠点に位置づけられている(図2)。

図2 「エネルギー成長戦略特区」における敦賀港の役割。出典:福井県総合政策部

 その一方で周辺の地域には原子力発電所が数多く集まっている。敦賀港の先には日本原子力発電の「敦賀発電所」があるほか、関西電力の「美浜発電所」や高速増殖炉の「もんじゅ」も10キロメートル圏内にある。新設するバイオマス発電所が予定通りに2017年の夏に稼働すれば、原子力発電所の再稼働よりも先行する可能性がある。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.