被災した農地をメガソーラーに転用、海岸に沿って49.5MWを展開自然エネルギー

東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県の亘理町で大規模なメガソーラーを建設するプロジェクトが始まった。太平洋に面した場所の農地を転用して、農業の再生とともに産業の誘致で復興を図る。宮城県で最大級の49.5MWの発電設備を2018年に運転開始する予定だ。

» 2015年03月10日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 亘理町の位置。出典:亘理町

 亘理町(わたりちょう)は宮城県の南東部に位置する農業が主体の町である(図1)。太平洋沿岸を中心に大震災の津波で甚大な被害を受けた。2012年7月に「復興整備計画」を策定して以降、町内の地区ごとに整備事業を推進している。

 太平洋に面した「吉田地区」は壊滅的な被害を受けた地区の1つで、農地を再整備しながら一部を太陽光発電事業に転用して土地の有効活用を図る。

 海岸に沿って75万平方メートルに広がる用地に、発電能力が49.5MW(メガワット)のメガソーラーを建設する計画だ(図2)。そのために土地改良法に基づいて、農地の計画変更手続きを進めているところである。

図2 メガソーラーの完成イメージ。出典:亘理町

 メガソーラーの建設・運営を担当する事業者には、岡山県に本社を置くアミューズメント機械メーカーの山佐が決まっている。3月6日に山佐・亘理町・宮城県の三者でメガソーラーの立地協定を締結した。運転開始は3年後の2018年を予定している。

 メガソーラーの設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)を全国標準の14%で想定すると、年間の発電量は約6000万kWhに達する見込みだ。一般家庭で1万7000世帯分に相当する電力で、亘理町の総世帯数(1万1750世帯)を大幅に上回る。町が目指す「持続可能なエネルギー社会」に向けた中核の取り組みになる。

 メガソーラーの周辺には水田や畑地を整備するほか、公園を兼ねた避難丘や、海沿いに防潮林も再生する(図3)。メガソーラーが運転を開始してから2年後の2020年までに吉田地区の整備事業を完了させる計画である。

図3 メガソーラーの建設用地と周辺の整備計画。出典:亘理町、宮城県

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