蒸気が結ぶ3%の省エネ、日産の工場から食用油工場へ省エネ機器(2/2 ページ)

» 2015年03月26日 07時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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使い切れない日産、足りないJ-オイルミルズ

 異なる企業が蒸気を融通するに至った経緯はこうだ。日産自動車横浜工場は3地区(約53万7000m2)からなり、エンジン47万基の生産能力を備えている。工場に電力と蒸気を供給するために出力8730kWのコージェネレーションシステムを2006年に1基導入していた。

 より多くの電力が必要になったため、同じ型のシステムをもう1基導入することを検討したが、蒸気を使い切れないことが分かった。これでは効率的な運用ができない。

 隣接するJ-オイルミルズには異なる問題があった。「食用油などを容器に充填する工程に向けて蒸気を製造していたが、環境に与える影響を配慮すると、日産自動車から蒸気の供給を受けた方が良いことが分かった。加えて、蒸気を利用する際の運用コストも下がる」(J-オイルミルズ)。

図4 蒸気の融通が始まった後のシステム構成(クリックで拡大) 出典:エネルギーアドバンス

 新しい設備を導入し、蒸気の融通が始まった後のシステム構成を図4に示す。「融通する蒸気の温度は200度であり、パイプを利用して供給する能力は1時間当たり最大5トンだ」(エネルギーアドバンス)。

 導入するコージェネレーションシステムは、フィンランドWärtsilä(バルチラ)の製品。「バルチラのシステムは日本国内に合計49台導入されており、うち33台を当社が納めた」(エネルギーアドバンス)。日産自動車横浜工場で既に動いている設備もバルチラが製造。

 図3にあるコージェネレーションシステムや蒸気分配機、蒸気配管はエネルギーアドバンスの資産として所有する形を採る。日産自動車は同社とエネルギーサービス契約を結んでいる。J-オイルミルズは蒸気使用量をエネルギーアドバンスに支払う。

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