電力自由化で開放される7.5兆円の国内低圧市場、日米の電力事業者が協業で狙う電力供給サービス

2016年4月にスタートする電力の小売全面自由化を控え、新電力各社の取り組みも活発になってきた。新電力のイーレックスは、小売全面自由化により開放される日本国内の低圧市場への参入に向け、米国の小売事業者であるSpark Energyと採算性などについての共同検討を行うと発表した。

» 2015年04月14日 11時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 2016年4月にスタートする電力の小売全面自由化により、一般家庭や小規模オフィス、商店など、現行制度では規制部門に当たる低圧市場が開放されることになる。その市場規模は約7.5兆円以上になると見られている。この新たな電力市場の開放を控え、新電力(特定規模電気事業者)各社の取り組みも活発になってきた。

 新電力の1つであるイーレックスは、米国テキサス州ヒューストンに本拠を置く電力小売事業者のSpark Energyと日本国内の低圧市場への参入に向けて、採算性などについての共同検討を開始すると発表した。1999年に設立されたSpark Energyは、現在米国の16州において住宅・商用向けに電力・ガスの供給サービスを展開している(図1)。

図1 Spark Energyが事業を展開している州の一覧 出典:Spark Energy

 Spark Energyと同じく1999年に設立されたイーレックスは、2001年1月から電力の小売事業を開始している。電源開発や発電事業も手掛けており、最近では再生可能エネルギーによる電力の調達にも注力している(関連記事)。同社はこれまで高圧分野で法人向けに小売事業を行ってきた。2016年4月からの小売全面自由化で、同社がノウハウを持たない低圧分野の市場が開放されることに備え、Spark Energyが米国で培った低圧市場向け電力ビジネスの知見を日本国内でも活用する狙いだ。

 イーレックスとSpark Energyの具体的な協業内容については現時点で未定となっており、決まり次第発表するとしている。電力の小売全面自由化に向け、通信会社などこれまで異業種だった企業が電力市場に参入する動きが進んでいるが、今後はこうした外資系企業の参入が加速する可能性もある。

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