トイレもゼロ・エネルギーに、水流で発電してLED照明に電力を供給自然エネルギー

自然のエネルギーを活用して電力の使用量をゼロにする取り組みがトイレにまで広がってきた。住宅設備メーカーのLIXILはトイレの便器に給水する水流で発電して、トイレ内の照明に電力を供給するシステムを開発した。蓄電池に貯めた電力で停電時にも照明をつけてトイレを使うことができる。

» 2015年06月03日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 LIXIL(リクシル)は東北大学の研究グループと共同で「ゼロ・エネルギー・トイレ(ZET)」の実証プロジェクトを進めている。災害時に停電が発生しても、トイレを快適に使えるようにすることが目的だ。東日本大震災による停電で東北大学のトイレの利用環境が著しく悪化したことから、非常時にも継続して利用できる常設トイレの実現を目指している(図1)。

図1 「ゼロ・エネルギー・トイレ(ZET)」の照明効果(小便器に適用した場合)。出典:LIXIL

 発電のエネルギーには水洗トイレの便器に水を供給する時の水流を利用する。日常の生活環境に存在する微小なエネルギーで電力を作る「環境発電」の一種である。LIXILは発電能力などのデータを公表していないが、水洗トイレのわずかな水流で発電できる電力は極めて小さいことが想像できる。

 こうした環境発電の技術に加えて、蓄電池と高効率のLED照明を組み合わせた。LED照明は暗い場所でも明るさを高める効果のある短波長の光を発する仕様で開発した。電力の使用量を最小限に抑えながら、最低限の明るさを確保することができる(図2)。災害時に上下水道の機能が維持できていれば、停電が発生してもトイレの使用に支障を及ぼさないで済む。

図2 「ゼロ・エネルギー・トイレ(ZET)」の照明効果(大便器に適用した場合)。出典:LIXIL

 東北大学のキャンパス内に実証用のZETを2014年12月に設置して、発電量・蓄電量・電力使用量などを計測してきた。その結果、水流による自家発電と昼間の自然光を併用すれば、長時間の運用が可能なことを確認した。平常時には省エネの効果もある。LIXILはZETの実用性を高めるために、引き続き実証研究を通じて運用方法の改善を図る計画だ。

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