雪国の平地に9万5000枚の太陽光パネル、角度30度で雪を落として発電自然エネルギー(1/2 ページ)

新潟県の企業局が広大な工業団地の中で建設を進めてきたメガソーラーが7月1日に全面運転を開始した。総額76億円を投じて年間に6200世帯分の電力を供給する。太陽光パネルに雪が積もらないように30度に傾けて設置したほか、一部は夏と冬で角度を変えて発電量を比較することが可能だ。

» 2015年07月06日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 震災前の2010年8月に建設工事が始まった「新潟東部太陽光発電所」が約5年の歳月をかけて全面稼働に入った(図1)。全体の9割近くを占める「3号系列」が7月1日に運転を開始したことにより、自治体が運営するメガソーラーでは日本で最大級の発電規模になる。

図1 「新潟東部太陽光発電所」の全景(画像をクリックすると拡大)。中央に太陽光パネルの色が違って見える区画の左半分が「1号系列」、右半分が「2号系列」、周囲はすべて「3号系列」。出典:新潟県企業局

 太陽光パネルの設置枚数は合計で9万5000枚にのぼり、発電能力は17MW(メガワット)に達する。年間の発電量は2240万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して6200世帯分に相当する規模で、メガソーラーが立地する阿賀野市(あがのし)の総世帯数(1万3000世帯)の半分近くを占める。

 新たに稼働した3号系列を含めて2012年度に固定価格買取制度の認定を受けているため、1kWhあたり40円(税抜き)の買取価格で売電することができる。年間の売電収入は9億円になり、20年間の累計では180億円を得られる見通しだ。一方で総事業費は76億円かかった。

 メガソーラーを建設・運営するのは新潟県の企業局で、用地も所有している。阿賀野市内に2003年に造成した「新潟東部産業団地」に多くの区画が残っていたことから、全体の約4割に相当する50万平方メートルをメガソーラーに転用した(図2)。工業団地の広い空き地が再生可能エネルギーの供給源に生まれ変わった。

図2 「新潟東部産業団地」の区画(2014年11月時点)。黄色の区画に「3号系列」を建設。出典:新潟県企業局
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