雪国の平地に9万5000枚の太陽光パネル、角度30度で雪を落として発電自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2015年07月06日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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設備利用率は全国標準を上回る15%超

 阿賀野市は新潟県の内陸部にあって、冬には雪が大量に降る。積雪対策として3号系列の太陽光パネルは南向きの30度に傾けて設置した(図3)。架台の高さも1.8メートルと高くして、パネルから落ちた雪に埋もれない設計になっている。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は15.4%を見込んでいて、国内の標準値(13%)を大きく上回る。

図3 「3号系列」の太陽光パネルの設置状況(画像をクリックすると拡大)。出典:新潟県企業局

 先行して2012年7月から運転を開始した「2号系列」も同様の設置方法で、実際の発電量は予想をはるかに超えた。初年度の設備利用率は16.2%に達している。冬の発電量も積雪対策が効果を発揮して想定を上回ることができた。2号系列・3号系列ともに太陽電池には発電効率の高い単結晶シリコンタイプを採用している。

 一方で2011年11月に最初に稼働した「1号系列」は価格の安い多結晶シリコンタイプの太陽電池を利用した構成で、パネルの設置方法も違う(図4)。架台の高さは同じ1.8メートルだが、角度を変えられるようにした。夏には20度に抑えて太陽光を多く取り込み、冬には40度に傾けて積雪を防ぐためだ。この方法で初年度の設備利用率は標準並みの13.0%を記録した。

図4 「3号系列」(上)と「1号系列」(下)の架台の違い。出典:新潟県企業局

 新潟県の企業局は実績をもとに、県内の降雪地帯に建設するメガソーラーではパネルの設置角度を30度に固定して、架台の高さも1.5メートル以上を確保する。2014年11月に新潟市内で運転を開始した「北新潟太陽光発電所」でも単結晶シリコンタイプの太陽電池を採用して、1.5メートルの高さに角度30度で設置した(図5)。

図5 「北新潟太陽光発電所」の全景(画像をクリックすると太陽光パネルの設置状況を拡大して表示)。出典:新潟県企業局

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