このほかにも県内の各地でメガソーラーの開発計画が相次いで始まって、運転を開始した発電設備も増えてきた。固定価格買取制度の導入量を見ると、太陽光では全国で第5位になっている(図5)。認定を受けた発電設備を加えると合計で3000MW(=300万キロワット)を超えた。電力需要が大きい首都圏にあって、再生可能エネルギーの供給基地として役割が高まっていく。
太陽光だけにとどまらず、小水力発電やバイオマスの導入量も増えている。小水力では都市部に広がる水道の設備を利用した導入事例が3カ所にある。その中でも最も新しく2015年2月に運転を開始した「北船橋発電所」では、近隣の2カ所の水道施設から送られてくる水流で発電する方法を取り入れた。
発電所がある「北船橋給水場」では、10キロほど離れた別の給水場と15キロほどの距離にある浄水場から水を受けている。この2カ所と結ぶ2本の水道管に発電機を設置した(図6)。水流の落差は28メートルと13メートルで、発電能力は2つの合計で383kWになる。年間に92万kWhの電力を供給することができる。
すでに稼働中の2カ所の小水力発電所と合わせて年間の発電量は330万kWhになり、一般家庭で900世帯分の使用量に相当する。発電した電力は水道施設の中で消費して、千葉県の水道局が年間に利用する電力のうち約2%を小水力発電でまかなえるようになった。
千葉県内では都市部を中心に廃棄物を利用したバイオマス発電やバイオ燃料の製造も活発に広がっている(図7)。特に目を引くのは食品廃棄物からバイオガスやバイオ燃料を生成して電力や熱に転換する方法だ。多数の人口を抱える大都市圏に適したバイオマスの活用法である。
さらに将来に向けて海洋エネルギーの開発に注力する。千葉県の太平洋側はサーフィンの名所として人気があることでもわかるように、年間を通じて強い風が吹き、大きな波を作り出す。風力発電と波力発電の両方のポテンシャルが大きい(図8)。
千葉県の太平洋沿岸で最も北にある銚子市の沖合では、日本で初めての着床式による洋上風力発電設備が2013年に10カ月間の実証試験に挑んだ(図9)。波力発電でも20年ほど前に、漁港の1つで8年間にわたって実証試験を続けて、発電コストを試算したことがある。
大きなポテンシャルがある海洋エネルギーを再検討するために2014年度から導入可能性の調査を開始した。2015年度は県の予算2000万円を投じて洋上風力と波力のデータを沖合で取得する予定だ。それをもとに2016年度から具体的な開発計画の検討に入る。2020年代には千葉県の沖合で風車や水車が大量の電力を生み出す期待がかかる。
*電子ブックレット「エネルギー列島2015年版 −関東・甲信越 Part2−」をダウンロード
2016年版(12)千葉:「ダムや駐車場でも太陽光発電を増やせる、洋上風力の発電効率は30%超える」
2014年版(12)千葉:「東京湾岸にメガソーラーが続々誕生、砂利採取場も最終処分場も発電で稼ぐ」
2013年版(12)千葉:「洋上風力とメガソーラーが東京近郊に、大規模なバイオマス発電所も加わる」
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