2014年度に日本の電力会社が供給した電力のうち88%は火力だ。震災前に6割程度だった化石燃料の依存度が9割近くに上昇している。電力会社の燃料費は2010年度と比べて2倍に増加した。LNGと石炭の消費量が増えたためだが、2014年度の後半からLNGの輸入価格は下がり始めている。
日本の電力業界にとって最大の問題点は火力発電の比率が極めて高いことだ。東日本大震災を受けて原子力発電所が全面的に運転を停止して、化石燃料を利用する火力発電が全体の9割近くを占めるようになった(図1)。さすがに価格の高い石油は減ってきたが、LNG(液化天然ガス)と石炭は増加傾向が続いている。
資源エネルギー庁によると、震災前には原子力の発電量が年間で2748億kWh(キロワット時)にのぼった。全体の発電量に占める比率は3割くらいだ。これがほぼすべて火力発電に置き換わったことで、燃料費が年間に3.4兆円も増えてしまった(図2)。2011〜2014年度の4年間を累計すると増加額だけで12.4兆円に達する。
燃料の種類別に見ると、LNG(液化天然ガス)の増加分が最も大きくて、2014年度には震災前の水準と比べて2.5兆円も増える見込みだ(図3)。石炭は価格が安いために、使用量は増えたものの0.1兆円の増加にとどまる。むしろ問題は石油である。発電量は石炭の3分の1程度だが、燃料費は震災前から1.1兆円も増えている。電力会社がコストの高い石油火力の縮小に取り組んでこなかった結果だ。
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