薄さ60ミリの遠隔監視ユニット、屋根と太陽光パネルの間にも設置しやすく太陽光

構造物や工場のルーフトップ(屋根や屋上)に設置するタイプの太陽光発電システムの導入が拡大している。しかし屋根面に直接設置するルーフトップ型は、パネルの下にスペースが少なく遠隔監視システムの設置は工夫が求められる。そこで日立産業制御ソリューションズは狭小スペースにも設置しやすい薄型のパネル監視システムを開発した。

» 2015年07月24日 15時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 日立産業制御ソリューションズ(以下、日立産業制御)は、新開発の薄型検出ユニットを搭載する太陽光発電パネル監視システム「HAD-PVK100(600V対応)」と「PVK200(1000V対応)」を2015年10月より発売する。検出ユニットを薄型化することで太陽光発電パネルと屋根面の間に設置可能にするなど、狭小スペースへの設置課題に対応できるようにした。今後1年間で6万台の販売を目指す。

 公共機関や企業で、資産の有効活用とクリーンエネルギーへの関心が高まり、構造物や工場のルーフトップ(屋根や屋上)に太陽光発電システムを設置する事例が増えている。しかし平置き(野立て)型のシステムと異なり、屋根面に直接設置するルーフトップ型はパネルの下にスペースが少ない。そのため従来の検出ユニットでパネル監視する際には、設置スペースの確保や配線の工夫などが必要だった。

 こうしたニーズに対応するため、日立産業制御は狭小スペースでも設置可能な薄型検出ユニットを新開発した。高さは従来品の1000Vタイプが150ミリ、600Vタイプが100ミリだったが、60ミリに薄型化した(図1)。

図1 新開発した薄型検出ユニットのイメージ 出典:日立産業制御ソリューションズ

 また、新製品は太陽光発電パネル1枚単位で発電データを遠隔監視、自動診断することで現地でのパネル調査に掛かるコストを抑えることができ、太陽光発電システムの運営効率化を支援する。パネル単位で監視することにより、従来の故障診断システムでは見落とされたパネルの故障や汚れ、影などの微細な発電ロスを発見することが可能になるという。

 さらにクラウドサービスとの連携で、遠隔地や立ち入り制限のある場所に設置された太陽光発電システムの稼働状態をいつでもモバイル端末などから閲覧できるとともに、常に最新の太陽光発電パネル監視システムの機能・サービスを利用することができる。この他、薄型化開発でコスト低減も進み、初期導入費用を同社従来比約2分の1となる1W(ワット)当たり約9円(システム構成により異なる、工事費は含まず)に抑えた。

 同社では今後、薄型検出ユニットの特性を生かした太陽光発電システムの運営効率化の提案を進めていく。また、社会インフラに精通した独自の強みを生かし、収集・蓄積した監視データをビッグデータ解析することで、パネルの故障予測などにも取り組むという。併せて再生可能エネルギー発電量とHEMS、BEMSなどで収集される電力需要量をモニタリングおよびコントロールすることによる省エネルギー化の提案などを行っていく方針だ。

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