青々と育つ稲の上に太陽光パネル、「米と発電の二毛作」に棚田で挑むスマートアグリ(2/3 ページ)

» 2015年07月24日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

稲には1日に9時間以上の日射が必要

 太陽光パネルは棚田の上部に3列で配置した(図4)。コストを安く抑えるために市販の太陽光パネルを採用して、パネルのあいだは縦と横それぞれ1.8メートルのスペースを空けてある。パネルの下の農地全体に1日あたり9時間以上の太陽光が降り注ぐように計算した結果からだ。

図4 太陽光パネルを上から見た状態(画像をクリックすると拡大)。出典:福永博建築研究所

 太陽光パネルを設置する架台にも工夫を凝らした。田んぼの中の4カ所に支柱を立てて、そこからワイヤーを張ってパネルを載せる。ワイヤーはチェーンを使って高さを上下に移動できるようになっている(図5)。架台は高さ3メートルまで引き上げることが可能で、稲を刈り取る時に使う大型のコンバインでもパネルの下で作業ができる。通常時は2メートルの高さで架台を固定している。

図5 太陽光パネルを上下に移動できるワイヤー式の架台と支柱。出典:福永博建築研究所

 発電した電力を直流から交流に変換して送配電ネットワークに供給するためのパワーコンディショナーも支柱に取り付けた。支柱のあいだを電線でつないで、田んぼの近くにある電柱まで接続している。パワーコンディショナーで漏電も防止する。

 太陽光パネルは価格が安い多結晶タイプを採用した。1枚あたりの発電能力は245〜255ワットで、設備全体では14.45kW(キロワット)になる。標準的な発電効率を想定して、年間の発電量は1万5000kWh(キロワット時)程度を見込んでいる。

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