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» 2015年07月28日 09時00分 公開

電力は水素と超電導の蓄電池に貯蔵、技術で走るクリーンエネルギー先進県エネルギー列島2015年版(15)山梨(2/3 ページ)

[石田雅也,スマートジャパン]

リニアモーターの超電導技術を生かす

 再生可能エネルギーの電力を貯蔵する方法には、蓄電池を利用する手段もある。すでに東北や九州を中心に離島を含めて実証試験が進んでいるが、米倉山にはリニアモーターカーに使われている超電導技術を応用した蓄電システムを導入する計画が進行中だ。山梨県がエネルギーの分野で最先端を走る2つ目のプロジェクトである。

 この蓄電システムは電力を貯蔵する方法が通常の蓄電池と大きく違う。円盤状の巨大なフライホイールを電力で回転させて、運動エネルギーに変換する。円盤の直径は2メートル、総重量は4トンにも及ぶが、1分間に最大6000回も回転することができる。回転する部分は発電機になっていて、必要に応じて運動エネルギーを電力に戻せる仕掛けだ(図4)。

図4「超電導フライホイール蓄電システム」の仕組み。出典:鉄道総合技術研究所

 リニアモーターカーと同じように超電導の状態でフライホイールが浮いて回転するため、エネルギーの損失がほとんどなく長時間にわたって保持できる。しかも通常の蓄電池のように性能が劣化することもない。こうした利点から、太陽光発電で変動する電力を頻繁に充電・放電しながら安定化させる用途に適している(図5)。

図5 フライホイール蓄電システムによる電力の安定供給イメージ。出典:古河電気工業

 米倉山には10MWのメガソーラーの敷地の中に、超電導フライホイール蓄電システムの試験用に1MWの太陽光発電設備が別に設けられている。蓄電システムの実証機は2015年4月に東京都内の鉄道総合技術研究所で試運転を開始した。これから米倉山に移設して、太陽光発電設備と連系試験に入る予定だ。

 蓄電システムの出力は0.3MWある。太陽光による最大1MWの出力が天候によって変動しても、電力を吸収して安定化させる効果は大きい。ただし装置の大きさやコストを考えると、広く実用化できるのはかなり先になる見通しだ。それでもリニアモーターカーと同様に、何十年か後に世界をリードする先端技術として、再生可能エネルギーの拡大に貢献する期待は十分に持てる。

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