北海道の太平洋側に広がる釧路市で、発電能力が20MWに達する巨大なメガソーラーが運転を開始した。120万平方メートルの用地に10万枚の太陽光パネルを設置して、年間の発電量は7200世帯分に相当する。一帯は日本でも有数の日射量が得られる地域で、発電効率は14.8%と高い。
北海道の東部は日射量が豊富なことで知られている。特に南側の地域は全国でもトップクラスの日射量を誇る(図1)。その中で太平洋沿岸のほぼ中央に位置する釧路市内の一角に、道内でも最大級のメガソーラーが7月1日に運転を開始した。
日本紙パルプ商事グループが釧路市の音別(おんべつ)地区に建設した「釧路音別太陽光発電所」である。120万平方メートルに及ぶ広大な敷地に、合計10万5000枚の太陽光パネルを設置した(図2)。発電能力は20MW(メガソーラー)で、年間の発電量は2600万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると7200世帯分に相当する。
発電設備の効率を示す設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は14.8%に達する。全国のメガソーラーの標準的な設備利用率は13〜14%程度で、それを上回る高い水準になる。日射量が豊富なことに加えて、北海道の中では雪が少ない点も有利だ。夏でも気温が低く、太陽光パネルの温度上昇を抑える効果も期待できる。
メガソーラーを建設した音別地区は釧路市の飛び地になっている。もともと独立の音別町だったが、10年前の2005年に釧路市と合併した(図3)。東西を川に囲まれていて、地区全体の形がミロのビーナスの胴体部分に似ていることから、「北のビーナス」をキャッチフレーズに自然環境を生かした町づくりを進めている
音別地区のメガソーラーを運営する日本紙パルプ商事グループは紙の流通量で国内最大の規模を誇る。最近は多角化の一環で再生可能エネルギー事業を拡大中だ(図4)。釧路市のほかに岩手県と宮城県でも発電能力が9MWを超える大規模なメガソーラーを2014年に稼働させた。さらに紙の原料になる木材を活用したバイオマス発電所を岐阜県と島根県に展開している。
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