シャープの「直流エアコン」2015年内発売へ、カギは蓄電池と室外機のDC接続PVJapan2015(1/2 ページ)

シャープは2015年7月29〜31日の3日間、東京ビッグサイトで開催されている太陽光発電関連の展示会「PVJapan2015」に出展し、直流給電を利用した「直流エアコン」を披露した。

» 2015年07月30日 09時00分 公開
[三島一孝ITmedia]

 シャープは「直流家電」の実用化に向けた取り組みを強化する姿勢を示しているが、第1弾製品として「直流エアコン」を製品化することを明らかにした(一部既報)。2015年7月29〜31日に開催されている太陽光発電関連の展示会「PVJapan2015」に同製品群を出展した(図1)。

photo 図1 シャープの「直流エアコン」

 シャープが開発したのは、交流(AC)電流と直流(DC)電流のどちらの電流も受けられる仕組みを内蔵したハイブリッド型のエアコンだ。通常のエアコンと同様に室内機にAC電流の入力口をそのまま備える一方で、室外機側にDC電流の入力口と、DC-DCコンバータを搭載し、ACとDCのそれぞれの電流を受けられるようにした。

 室外機のDC入力は蓄電池と接続しており、DC電流は蓄電池を経由したもののみ利用可能。太陽光発電の電力を直接利用する時はパワーコンディショナー経由でAC電流を利用することになる。AC/DCの入力切り替えはHEMS(家庭用エネルギーマネジメントシステム)で制御し、エアコンへの指示は外部接続可能な「HEMSコントローラー」を通じて行う。そのため、直流エアコンを活用するためには、蓄電池システムとHEMSの導入は必須となる(図2)。

photo 図2 蓄電池連携DCハイブリッドエアコンシステムの仕組みの全体図(クリックで拡大)※出典:シャープ

従来のシステムでは無駄なAC−DC変換が発生

 「直流家電」は、太陽光発電や蓄電池など再生可能エネルギーの普及によって注目を集めた。現在の送配電網では電圧の大きさを変えやすく高電圧での電力ロスの少ない交流が使われているが、太陽光発電などで生まれる電力は直流である。例えば、太陽光発電で発電した電力を一度蓄電池で蓄積し、そしてそれをエアコンで利用するという場合、太陽光発電でDCで生まれた電力を、パワコンでACに変換し、蓄電池でさらにDCに変換して蓄電する。それを使ってエアコンを動かす時には、蓄電池のDCの電力をパワコンでACに変換し、エアコンに送りこんでそれをエアコン内でDCに変換して使うということになる。非常に多くのACとDCの変換が発生し、それにより生まれた電力を多くが失われている状況だ。

 一方、今回開発されたDCエアコンシステムでは、蓄電池に蓄積するところまでは同じだが、使う時には無駄な変換なしに室外機にDCで送り、そのままエアコンを駆動できる。今までのシステムに比べてエアコンの電力使用効率を約5%改善できるという。

 シャープエネルギーシステムソリューション事業本部 エネルギーソリューション事業推進センター 副所長兼企画部長の相場誠弥氏は「日本のエアコンの省エネ技術は優れており電力使用効率を大きく上げるには抜本的な革新が必要な状況になっている。直流エアコンはその切り口の1つだといえる」と述べている。

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