シャープの「直流エアコン」2015年内発売へ、カギは蓄電池と室外機のDC接続PVJapan2015(2/2 ページ)

» 2015年07月30日 09時00分 公開
[三島一孝ITmedia]
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既存のシステム構成を生かしたことがポイント

 シャープでは2011年に“節電を極める家”として「シャープ・エコハウス」を設置し「直流給電によるDC家電の検証」などを推進。直流給電および直流家電における取り組みを継続的に推進してきた。

 ただ、直流給電にはメリットがある一方で、利用には既存の設備更新が必要であることなどから、実用化が進まない状況が進んでいた。今回の直流エアコンシステムでは、既存のシステムを根本的に入れ替えるようなダイナミックな変更を行うことなく、直流給電を生かす仕組みを考案したことがポイントだ。

 相場氏は「技術的に見ると、基本的には既存のエアコンのラインアップに対し、室外機にDC入力と100Vから200Vに昇圧するDC-DCコンバータを内蔵するだけだ。HEMSからの指示については、外付けのHEMSコントローラーで受けられるため、蓄電池やHEMSそのものは必須となるものの、システム構成の全体像に手を加える必要がない点も利点だといえる」と話している。シンプルな構成であるため、技術的にはほぼ確立されており「2015年内に発売する計画。価格も既存のエアコンに数万円プラスとなる程度で収まると考えている」(相場氏)としている(図3)。

photo 図3:蓄電池連携DCハイブリッドエアコンシステムと、シャープエネルギーシステムソリューション事業本部 エネルギーソリューション事業推進センター 副所長兼企画部長の相場誠弥氏

直流家電シリーズ第2弾はLED照明?

 「今回のシステムのポイントは蓄電池システムだ」と相場氏は強調。「直流給電は過去何度かブームのように盛り上がったことがあったが、現実的な提案ができなかった他、蓄電池システムの価格も高かったことから実現が難しかった。蓄電池システムの価格が下がり、家庭で現実的に利用できる領域に入ってきたことからさまざまな提案が行える素地が整ってきた」と相場氏は述べる(図4)。

photo 図4:DC入力を可能とした室外機と蓄電池(左奥)。室外機は通常のエアコンのものより少し縦に長く、その伸びたところにDC入力とDC−DCコンバータが搭載されている

 今後についてはさらに「直流家電」のラインアップを拡充していく方針だ。「直流エアコンの年内の発売を目指すとともに、複数台のエアコンに直流電流を供給できる開発を進める。さらにまだアイデアベースだが、LED照明に対してDC供給できるような仕組みを考えていきたい。シャープの強みは、直流給電に対し継続的な研究を行ってきたことに加え、太陽光発電から蓄電池、家電製品まで抱えていることだ。これらを生かして直流家電シリーズのラインアップを増やしていく」と相場氏は抱負を語っている。

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