ジャガイモが生んだ日中の架け橋、バイオエタノール製造技術を共同普及へ自然エネルギー(1/2 ページ)

NEDOは、中国・国家発展改革委員会とジャガイモのでんぷんの残りかすからバイオエタノールを製造する技術の導入に関する基本協定書を締結したと発表した。

» 2015年08月20日 09時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 中国政府はガソリン消費量を抑えるため、2020年までにバイオエタノールを10%混合したガソリン(E10)を全土に普及させることを目標にしており、その目標を達成するためには、燃料用エタノール製造の拡大を推進する方針。一方で食料価格の高騰を避けるため、トウモロコシなどの食料からのエタノールを生産するプラントを新設させないようにしている。そのため非食料からのバイオエタノール製造技術へのニーズが高まっていた。

 今回の共同事業は、中国の黒龍江省において、ジャガイモのでんぷん工場から排出されるジャガイモ残りかすを原料としたバイオエタノール製造技術を2017年度末までに実証するもの。2015年8月10日には新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と中国・国家発展改革委員会の間で基本協定書(MOU)を結び、実際にこれらの製造技術の共同普及を進めていく。

 NEDOでは、日立造船と双日を委託先とし、中国の黒龍江省における「馬鈴薯澱粉残渣からのバイオエタノール製造実証事業」を2014年3月まで実施。同実証事業は産業技術総合研究所が保有するジャガイモのでんぷん残りかすの糖化・発酵技術と、日立造船の総合プラントエンジニアリング能力および、膜分離によるエタノール化無水技術、双日総合研究所のバイオマスに関する知見を活用して燃料用エタノールを生産するというものだ(図1)。

photophoto 図1 ジャガイモ畑(左)とジャガイモのでんぷん残りかす(右) 出典:双日

 中国黒龍江省の省都ハルピン市より北北西に300キロメートルにある克山国有農場において、ジャガイモ加工企業である北大荒馬鈴薯集団と共同実証を行ってきた(図2)。

photo 図2 実証実験を行う黒龍江省克山 出典:NEDO

 今回の事業はこれらの実績をさらに発展させ、実際に技術導入を行って実証するものとなる。引き続き、中国の黒龍江省にある北大荒馬鈴薯集団の克山工場での実証を進める。同工場において、これまで廃棄されていたジャガイモのでんぷん残りかすを原料としたバイオエタノール製造技術を実証。事業期間は2017年度末までを予定している。

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