まるで巨大な“羽根のない扇風機”、水と風で発電するビルがオランダで計画自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2015年08月28日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]
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羽根のない風力発電「EWICON」

 Dutch Windwheelでは、再生可能エネルギーなどの実現に向けたショーケースや実証の場としても活用を進めていく計画だ。

photo 図4 Dutch Windwheelで採用される再生可能エネルギーの概要 出典:Dutch Windwheel

 既にDutch Windwheelでの活用に向けて開発が進められている革新的な発電技術の1つが、「EWICON(Electrostatic WInd energy CONverter、静的な風力発電変換機)」技術である。EWICONは、デルフト工科大学とワーゲニンゲン大学を含むコンソーシアムによって開発された。同技術は、水と風を使って、回転翼など駆動部などなしに発電できることが特徴だ。

photo 図5 内部の空洞に向けて水滴を発生させ、空洞を通る風との組み合わせで発電を実現 出典:Dutch Windwheel

 仕組みは次のようなものだ。まずプラスに帯電した水を空気中に放出する。プラスに帯電した粒子は本来的には陰極側へ移動する。しかし、風により陰極側への移動が妨げられ、むしろ離される動きが発生する。そうすると、電気的な位置エネルギーが増える。この増加した電気を集めることで発電するという形だ。既に小型のものは実証実験で成果が得られているという。

EWICONの原理 出典:デルフト工科大学

 この先進的な風力発電機構は、発電に機械の可動部が不要となるため、機械の摩耗が少なく、メンテナンスコストや騒音、移動影の影響なども低減することができるという利点を持つ。

 同建築プロジェクトはまだ計画段階で、今後どういう形で実現に進めていくのは明確になっていない状況だが、実現すれば画期的な施設となるだけに多くの期待が集まっている。

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