ドイツのポルシェが電気自動車のコンセプトカー「Porsche Mission E」を発表した。注目すべきはリチウムイオン電池に充電する電力の電圧を通常の電気自動車の2倍強にあたる800ボルトに引き上げた点だ。100キロメートル走行するのに必要な電力をわずか4分で充電することができる。
すでにポルシェはハイブリッド車を発売済みだが、100%電気自動車は「Porsche Mission E」が初めてである(図1)。現在のところコンセプトカーの状態ながら、ポルシェらしい他社を圧倒する装備を盛り込んでいる。
最大の特徴はリチウムイオン電池をベースにした「Porsche Turbo Charging」と呼ぶシステムだ(図2)。充電時の電圧を800V(ボルト)に高めて充電時間を短縮した。満充電の8割にあたる400キロメートルを走行するのに必要な電力を15分程度で充電することができる。100キロメートルあたり約4分で済む。
現時点で市販されている電気自動車は最大でも375Vの電圧で充電することから、ポルシェの新システムは2倍強の高い電圧になる。2台のモーターを搭載した4輪駆動で、最高出力は440kW(キロワット)を発揮することができる。わずか3.5秒で時速100キロメートルに達する。
市販の電気自動車の中ではテスラモーターズの最新車種「Model S 85D」の出力が最高311kWでトップだが、それを大幅に上回ることになる。ちなみに一般の電気自動車では「日産リーフ」の出力が最高80kWである。
「Porsche Mission E」はバッテリーが満充電の状態で500キロメートル以上を走行することができる。充電容量を公表していないが、テスラの「Model S 85D」が搭載している容量85kWh(キロワット時)と同程度になる見通しだ。量産開始は早くて4年後の2019年と予想されている。スポーツカーの領域にも電気自動車が着々と広がり始めた。
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