水素の「製造・貯蔵・供給」を一手に担う、九州初のオンサイト式ステーションスマートシティ

九州地域初となる都市ガスを利用したオンサイト式商用水素ステーションの建設が福岡市ではじまった。西部ガスが建設する「東浜水素ステーション」で、2016年3月から運営を開始する。燃料電池車への供給に加え、水素製造設備を持たない他の水素ステーションにも水素を供給する。

» 2015年09月18日 13時00分 公開
[陰山遼将ITmedia]

 西部ガスは2015年9月16日から福岡市の東区東浜に「東浜水素ステーション」の建設を開始した。燃料電池車(FCV)用の商用水素ステーションで、建設費用は約7億円。発注先は日本エア・リキードと大阪ガスエンジニアリングだ。2016年3月から運用を開始する(図1)。

 同ステーションは、敷地内で都市ガスを原料にして水素を製造するオンサイト式を採用。完成すれば九州初のオンサイト式商用水素ステーションとなる。建設場所は西部ガスの旧福北工場用地内で、敷地面積は1300m2(平方メートル)。

図1 「東浜水素ステーション」の完成イメージ 出典:西部ガス

 水素製造装置で都市ガスと水を約800度の高温で反応させて水素を製造し、圧縮機で約80MPa(メガパスカル)まで昇圧して蓄圧器に貯蔵する。この水素をディスペンサーを通してFCVに供給する。水素の供給能力は1時間当たり300Nm3(ノルマルリューベ)、FCVへの充填(じゅうてん)圧力は70MPaで、FCVに5kg(キログラム)の水素を約3分で充填できる。

 同ステーションはFCVへの水素供給だけでなく、オンサイト式であることを生かして他の水素製造設備を持たない水素ステーションに水素を払い出す機能も備える。この場合は払い出し用の蓄圧器に約45MPaで貯蔵した水素を、約20MPaでカードルに充填して他の水素ステーションに運搬する(図2)。

図2 「東浜水素ステーション」の概要 出典:西部ガス

 さらに西部ガスは2016年3月からの東浜水素ステーションの運用開始にあわせ、トヨタ自動車のFCV「MIRAI」を2台導入する計画だ。

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