全国の電力需要が最大になる8月の販売量がまとまり、猛暑の影響から10地域のうち西日本の5つの地域で前年8月の実績を超えた。中部と北陸で2%以上の伸びを示す一方、関西と九州は企業向けの落ち込みが大きく前年を下回った。東日本の3地域を含めて企業向けの販売が振るわない。
電力会社10社による8月の販売量は全体では前年から0.2%の微減にとどまったが、地域によって大きな差がつく結果になった。8月の上旬は全国各地で猛暑に見舞われ、特に西日本で家庭向けを中心に冷房需要が増加したためだ。
地域別で販売量が最も大きく伸びたのは中部で、前年8月から2.4%拡大した(図1)。中でも家庭用の「電灯」が5.2%も増えている。次いで北陸の2.1%増、中国の1.8%増、四国の1.4%増、沖縄の0.1%増と西日本の各地で前年の販売量を上回った。
ただし関西と九州は企業向けが減少した影響で販売量を伸ばすことはできなかった。関西では家庭向けの電灯が2.0%増加したものの、企業向けは「業務用」が4.4%減、「産業用」が3.3%減に落ち込んだ。九州も企業向けの減少が大きく、関西とともに西日本の中で取り残された格好だ。新電力へ契約を切り替える企業が増えていることは明らかで、東日本の東京や北海道でも同様の傾向が見られる。
産業用の電力は大口契約による販売量が過去1年以上にわたって前年割れの状態になっている(図2)。8月は主要7業種すべてで前年を下回り、特に需要の大きい鉄鋼が6.4%も減少した。産業用の大口契約は販売量全体の3割を占めるため、今後も減少傾向が続くと気候に関係なく電力の市場は縮小していく。政府が推進する経済政策の効果に期待をかけるしかない。
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