多くのデータセンターが集積し、全世界のインターネット・トラフィックの約70%が流れ込んでくるという米国バージニア州ラウドン郡。データセンターの集積地として同郡が躍進した背景には、環境規制に対応するための水の再利用への取り組みがあったという。
米国バージニア州の北部に位置するラウドン郡は、ここ5年間でアッシュバーン地域を中心に世界各国の企業が利用するデータセンターの集積地として急成長をとげた。現在60カ所以上のデータセンターが稼働していて、これらを利用する企業は約3000社にのぼる。沖縄本島より一回り大きい総面積約1350平方キロメートル、約35万人が住むワシントンDC郊外のこの郡に、毎日、全世界のインターネット・トラフィックの約70%が流れ込んでくるという(図1)。
日本国内でもデータセンターを誘致して地域の活性化を促そうという取り組む動きが進んでいる。ラウドン郡がデータセンターの集積地として急成長した背景には、立地条件など複数の理由がある。しかしそれだけでなく、地元の水道局であるラウドン郡水道局が行った、経済性と環境規制への対応を両立させた環境施策が大きく貢献したという。
その内容についてグリーン・グリッドが2015年12月16日に東京都内で開催した総会に合わせ来日した、ジョージ・ワシントン大学 工学・応用科学スクール 教授講師で博士のジョン・E・ビショフ(John E. Bischoff)氏に聞いた。
企業から見て、ラウドン郡がデータセンターの集積地として魅力的な理由は大きく2つある。1つがインターネットトラフィックの通信ジャンクションとして、さまざまなデータがラウドン郡を多く通過していること。もう1つがコストの安い天然ガスで発電した安価な電力を調達できる点だ。
ラウドン郡もこうした立地条件を生かして地域経済の活性化を狙い、サーバ関連機器の販売と利用について免税施策を行うなど、データセンターの誘致を推進。現在ではAmazon、Facebookなどを筆頭に、多くの企業がデータセンターを置いている(図2)。
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