欧州の工業国ドイツは、電力源の構成を20年以上にわたって変化させてきた。2014年には再生可能エネルギーが電力源の首位となり、2015年には総発電量に占める比率が30%にまで高まった。立役者は風力、それも陸上風力だ。残る課題は褐炭の削減である。
ドイツの総発電量に占める再生可能エネルギーの比率が30%に達した。設備の容量ではなく、実際の発電量である。2015年12月21日、エネルギー関連の業界団体であるドイツ連邦水道エネルギー連合会(BDEW)は、エネルギー源ごとの発電量を公開した。
総発電量6471億キロワット時(推計値)に占める再生可能エネルギーの発電量は1941億キロワット時*1)。総発電量に占める再生可能エネルギーの比率は、2014年の25.9%から4.1ポイント増加し、過去最高を記録した。
ドイツの電源比率を図1に示した。外側は2015年、内側が2014年の数値。図の左上側に再生可能エネルギーを青系の色で示した。図左下は原子力とその他のエネルギー、図右側に化石燃料が茶色系で描かれている。なお、2015年の総発電量は、2014年から3.1%増加している。
*1)ドイツの人口は8129万人(2015年3月末時点)、面積は35.7万平方キロメートル、1人当たりの年間発電量は7960キロワット時。
ドイツ連邦水道エネルギー連合会が12月21日に公開したデータを図2に示す*2)。図1よりもエネルギー源ごとの細かい変化が分かりやすい。
図右端の差分は、2014年に対する2015年の成長率を示す。2015年の発電量を2014年の量で割った値から1を引き、パーセント表示した。
原子力や化石燃料は全て赤字で示されており、比率が下がっていることが分かる。逆に成長しているのは再生可能エネルギー、特に洋上風力と陸上風力、地熱だ。太陽光とバイオマスは落ち着いた成長段階にあるといえるだろう。
*2)家庭ゴミによる発電量の50%分を再生可能エネルギーに分類している。
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