毎月の使用量に関係なく電力会社より安い、ケーブルテレビ最大手が15都道府県で:電気料金の新プラン検証シリーズ(6)(2/2 ページ)
ジュピターテレコムは家庭向けに電力の供給を開始するのに合わせて、「J:COMグリーンプログラム」を4月から実施する。このプログラムは林業経営者などが参画して運営する「フォレストック認定制度」を利用したものである。「J:COM電力 家庭用コース」の加入世帯数に応じてジュピターテレコムが「CO2吸収量クレジット」を購入して、間伐などの森林整備費に充てる仕組みだ(図3)。
図3 「フォレストック認定制度」の仕組み。出典:森林資源開発
森林を整備することでCO2(二酸化炭素)の吸収量を増やせるメリットもある。1世帯が加入すると、ジュピターテレコムが購入するクレジットは年間に約5平方メートルの森林整備費に相当する。自然環境の保護に関心が高い家庭にはサービスに加入する付加価値になる。
ジュピターテレコムは販売する電力を同じ住友商事グループのサミットエナジーから調達する方針だ。サミットエナジーも間伐材などを燃料に利用する木質バイオマスを中心に再生可能エネルギーの電力供給に力を入れている(図4)。新潟県でバイオマス発電所を運営しているほか、愛知県と山形県でもバイオマス発電所の建設を進めている。
図4 サミットエナジーグループの電力事業。出典:サミットエナジー
企業や家庭が電力の購入先を選ぶ第1のポイントは料金の安さだが、環境にやさしい電力を重視する利用者も少なくない。政府は小売電気事業者に対して、販売する電力の電源構成を開示するように求めている(図5)。再生可能エネルギーを多く含む電力を販売する事業者は今後さらに増えていく見込みだ。
図5 電源構成の開示例。左が標準版、右が詳細版(画像をクリックすると拡大)。出典:電力システム改革小委員会
- 小売営業ガイドラインが固まる、セット販売の説明や電源構成の開示など
政府は電力の小売営業に関するガイドラインの素案を策定した。小売電気事業者に家庭向け標準メニューの公表を求めるほか、ガスや電話とセット販売する場合の割引・解除条件の説明も必要とする。原子力や再生可能エネルギーを含む電源構成の開示は義務化せずに、「望ましい行為」にとどめる。
- 電力・ガス・電話のメガ競争が始まり、電気料金は確実に安くなる
いよいよ電力の小売事業が4月1日から全面的に自由になる。全国で7.5兆円にのぼる家庭の電力市場に向けて、ガス会社を筆頭に有力企業が続々と乗り出してくる。携帯電話やインターネットサービスと組み合わせたセット割引も始まり、電力会社と新規参入事業者の競争が各地域へ広がっていく。
- 木質バイオマス発電で10万世帯分の電力、洋上風力と石炭火力がある工業団地に
山形県の臨海工業団地で東北最大の木質バイオマス発電所の建設が決まった。発電能力は50MWに達して、年間に10万世帯分の電力を供給できる見込みだ。燃料は地域の間伐材を中心に、港に近い立地を生かして国内外から調達する。条件に恵まれた臨海工業団地で再生可能エネルギーが広がる。
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