固定価格買取制度の問題点の1つになっている太陽光発電の未稼働案件の処理が進んできた。その影響を受けてメガソーラーを中心とする非住宅用の太陽光発電の認定容量が2015年9月の1カ月間に200万kWも減少した。一方で木質バイオマス発電が着実に増えている。
資源エネルギー庁が発表した2015年9月末時点の導入・買取・認定状況によると、固定価格買取制度の認定容量が1カ月間で一気に181万kW(キロワット)も少なくなった。前月比マイナス2%で、過去最大の減少率だ。非住宅用の太陽光発電の認定容量が200万kWも減少した影響が大きい(図1)。
非住宅用の太陽光発電は制度を開始した2012年度の買取価格が40円と高く、その後は年度ごとに4〜5円ずつ安くなって、2015年7月からは27円まで下がった。太陽光パネルを中心にコストが低下して建設費が安くなったためだが、認定を受けたまま運転を開始しない未稼働案件が問題になっている。
資源エネルギー庁は長期間にわたって未稼働の状態にある案件の事業者に聴聞を実施して、発電設備の設置場所と設備を確保していない場合には認定を取り消す対策を推進中だ(図2)。2015年9月末の時点で未稼働の案件は71万件に達していて、そのうち認定から1年6カ月以上を経過している2012年度と2013年度の認定分が過半数の36万件も占めている。認定容量では4000万kWを超える。
2014年度からは認定を受けた案件ごとに失効期限が定められるようになり、期限を過ぎると自動的に認定を取り消すルールに変わった。このため今後も非住宅用の太陽光発電の認定容量は減り続ける見通しだ。一方で運転を開始した発電設備は2015年9月に56万kW増えた(全体では65万kW)。実際に買取の対象になった電力量も季節による変動はあるものの前年を大きく上回っている(図3)。
太陽光発電の認定容量が減少を続ける中で、バイオマス発電の認定容量は着実に増えている。2015年9月だけで13万kWも増加した。特に木質バイオマスに集中している。和歌山県で一般木質(製材端材や輸入材など)を燃料に使った10万kWの発電設備が認定を受けた。同様に一般木質では大阪府で2万kW、山形県で0.6万kW、さらに群馬県では未利用木質(間伐材など)を利用する0.6万kWの発電設備も認定を受けている。
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