コムシスホールディングスが兵庫県に建設した水上式メガソーラーが2015年12月から発電を開始した。農業用ため池の水面に約8000枚の太陽光パネルを浮かべている。陸上でパネルを備えたフロート架台をユニットにし、クレーンで水面に運ぶことで施工工程を効率化した。
兵庫県は全国で最も多い約4万のため池を持つ県だ。このため池の水面を活用して太陽光発電を行う水上式メガソーラーの設置が広がり始めている。2015年12月には兵庫県中部の加東市にあるため池で、コムシスホールディングスが約6億円を投じて開発した水上式メガソーラー「加東市屋度大池太陽光発電所(サン・レイクス 屋度 加東)」が稼働を開始した(図1)。
発電所の敷地面積は約5万6600平方メートル。農業用のため池を活用して、水面に合計8036枚の太陽光パネルを浮かべた。パネルの総出力は約2MWで、年間発電量は210万kWh(キロワット時)となる見込みだ。これは一般家庭の年間使用電力量を3600kWhとした場合、約583世帯分の使用電力に相当する。太陽光を利用した発電により、年間約1100トンのCO2排出量削減効果を見込んでいるという。
太陽光パネルはフロート架台に取り付けて水上に浮かべる仕組みだ。フロート架台は軽量で、紫外線や腐食に強い高密度ポリエチレン製のものを採用した。設置の際には水上での難しい作業工程を省略するため、陸上で組み立てたユニットをクレーンでつりあげて水面に着水させるという施工方法を採用している。着水後にクレーンで移動し、ため池の岸とフロート架台をワイヤで固定する仕組みだ(図2)。
一般的に太陽光発電は夏季などの外気温が上がる時期に発電効率が下がる傾向にある。一方、水上式の発電設備の場合は水面からの冷却効果が期待できるため、陸上の設備と比較して高い発電量が期待できる。コムシスホールディングスがフロート式の水上メガソーラーを建設するのは今回が初の事例で、同社では今回の施工ノウハウを他の発電設備にも生かしていく方針だ。
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