太陽光発電が増えても電力を安定供給、自動給電システムを中国電力が刷新電力供給サービス(1/2 ページ)

中国電力は気候によって出力が変動する太陽光発電や風力発電の拡大に備えて、地域の需給バランスをコントロールする自動給電システムを刷新した。再生可能エネルギーの発電量と需要の予測精度を向上させたほか、需給バランスの調整に必要な電力を事前に確保できる新機能も追加した。

» 2016年01月21日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
図1 「中央給電指令所」の内部。出典:中国電力

 中国電力の管内を流れる電力は、広島市にある「中央給電指令所」で全体をコントロールしている(図1)。地域内の発電量と需要の予測をもとに需給計画を立てながら、必要に応じて発電機の出力を制御して需要と供給のバランスを確保することが役割だ。その中核を担う自動給電システムを4年間かけて刷新して、1月19日に運用を開始した。

 新しい自動給電システムはソフトとハードの両面を改善した(図2)。ソフト面では発電量と需要の予測精度を向上させて、気候の変化に迅速に対応できるようにした点が特徴だ。従来は1日単位の気象データをもとに需要を予測していたが、新システムでは1時間ごとに需要を予測しながら自動的に補正できるようになった。

図2 新しい自動給電システムの主な改善点。出典:中国電力

 さらに日射量と風速を予測するために必要なデータの受信頻度と予測地点を増やして、太陽光と風力による発電量の予測精度も高めた。太陽光と風力は気候の変化によって出力が常に変動することから、地域の需給バランスを確保するうえで予測精度の向上は極めて重要だ(図3)。

図3 再生可能エネルギーの出力を予測して需給計画を作成する仕組み。出典:中国電力

 新しい自動給電システムは発電量と需要の予測値をもとに、中国電力が運転する個々の発電所の出力を経済的に(発電コストが最小になるように)配分することができる。合わせて各発電所の出力調整能力(速度と量)を考慮しながら、需要の急激な変動に備えて調整用の電力を自動的に確保する機能も追加した。太陽光や風力の出力が変動しても、あらかじめ準備しておいた火力発電の出力を調整して需給バランスを確保することができる。

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