日新電機は太陽光発電システム、蓄電池、自家発電機をEMSで最適に制御することで、工場のエネルギーコスト削減に貢献するスマート電力供給システムを開発した。2016年1月から販売を開始し、2016年度は20億円の売り上げを見込む。
日新電機は同社の持つ系統連系技術、受変電設備技術、機器状態監視技術を駆使し、多様な分散電源を組み合わせて省エネと電力の安定供給を同時に実現するSPSS(スマートパワーサプライシステム)を開発した。
SPSSには工場/オフィス向け、発電所/変電所向けなど、5つの市場向けに対応したシステムをラインアップしている。そのうち工場/オフィス市場向けの「工場などの大規模電力需要家向けスマート電力供給システム(SPSS-F)」を2016年1月から本格的に販売を開始する。
SPSS-Fは同社の中核製品である受変電設備に太陽光発電(PV)システム、蓄電池、自家発電機(コージェネレーションシステム)などの多様な分散電源に、電力機器の劣化状態を監視するセンサー(部分放電検出装置など)を組み合わせた。さらにこれらをEMS(エネルギーマネジメントシステム)で最適に制御するソリューションだ(図2)。
同システムを導入することで電力使用量の見える化による省エネ・節電の推進、多様な分散電源の導入と最適運用制御、省エネ機器への更新などが進み、エネルギーコストの低減を実現しやすくなるという。
日新電機では前橋製作所にSPSS-Fを導入し、2014年3月から検証を開始。気象状況や過去の負荷需要を用いた太陽光発電量と電力負荷予測により、最適運用(エネルギーコスト最小化)の実証を行った。その結果、2014年度のエネルギー使用量を26%削減(エネルギー料金として約4100万円、2012年度比)したとしている。CO2排出量についてもPVシステム、コージェネレーションシステム(CGS)の利用により、2012年度比8.5%削減(375トン/年)した。
同システムの活用により、非常時でも蓄電池に蓄えた電力を重要設備に供給をすることが可能となる。PVシステム、CGS、蓄電池を統合的に動かすシステムも現在開発中で、それにより系統停電時の事業継続(BCP)が図れる。
また、機器劣化状態の見える化により、更新のタイミングを適切に把握し、機器故障での突発的な停電を回避することができる。メガソーラー向けに実績があるPVストリング監視を工場向けに適用することも可能だという。日新電機はSPSS-Fを既存顧客に加え、工場/オフィス分野の新規顧客にも提案していく方針。初年度(2016年度)20億円の売り上げを目指すとしている。
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