電力小売全面自由化においてカギを握ると見られているのが、発電事業者と小売事業者が電力の売買を行える「日本卸電力取引所(JEPX)」である。同取引所が「新電力EXPO 2016」に出展し、あらためて健全な電力市場構築に向けたアピールを行った。
2016年4月からの電力小売全面自由化により、多くの小売事業者が新規参入を発表している。さまざまな料金プランやセット割引、付加サービスなどが発表(関連連載)され、盛り上がりを見せているが、これらの新規小売事業者は従来の電力事業者のように発電をするわけではなく、どこかから販売するための電力を調達する必要がある。発電事業者との直接取引による調達なども当然行うが、変動する電力需給に柔軟に対応し電力システムそのものを維持しつつ、新しい電力供給の仕組みを構築するためにカギを握ると見られているのが、電力の自由取引を行う卸売り市場である「日本卸電力取引所(JEPX)」である(図1)。
JEPXは2003年に創設。沖縄電力を除く9つの電力会社と大手の発電事業者が共同で設立した取引所で、現在は130社が加盟する(図2)。電力システムは、電力供給と需要を一致させなければならない「同時同量」が原則となっており、日本でも30分単位で電力を一致させることが求められている。そのため取引においても、電力の供給と需要の状態を一致させることが求められる。JEPXの取引の大半は翌日分の電力を取引する「スポット市場」であるが、初年度となる2013年度の取引総量が約9.3億kWh(キロワット時)だったのに対し、2014年度は126億kWhとなり大きな成長を見せている。
JEPXでは、従来翌日受渡しの電気取引を行う「スポット市場」を中心としているが、電力小売自由化に向けて新たに「365日営業の実現」や「1時間前市場の開設」などを行っている。
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