省エネ大賞決定、デンソーのエネ再生工場など省エネ技術が百花繚乱省エネ機器(2/3 ページ)

» 2016年02月02日 11時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

デンソーのエネルギー再生工場とは?

 デンソーの取り組みは、ESC(横滑り防止装置)や車輪速センサーなどを製造している自動車部品製造工場の大安製作所(三重県いなべ市)および走行安全製造部でエネルギーの削減活動である。

 同製造部では次期型製品への切り替わりにより新設ラインの増加が予定され、新製品の立ち上げにより設備台数が増加し、今後もCO2の増加が見込まれていた。そこで、製造部では現状では限界にきていたエネルギー削減活動やエネルギーの「ムダ取り」活動に加えて、目標に向けて未開拓だった加工時のエネルギー削減に着目し取り組むことにした。

photo 経済産業大臣賞の表彰を受けるデンソー 専務役員の若林宏之氏

 まず、製品別電気使用比率を調べたところ、ハウジング加工ラインの消費量が最も多かったことから、このハウジング加工ラインの消費量を5%削減することを目標にプロジェクトを立ち上げた。その検討会の中でキーワードを「へらす・なくす・つくりだす」として、「さらなる削減」「廃止」「再利用」の3つの活動項目を定めて取り組みを開始した。

 エネルギーの削減については「集中クーラントの更新」、エネルギーの廃止は「マシニングセンタの改善」、エネルギーの再利用は「クーラント循環の再利用」を目指した。このうち集中クーラントの更新については、省エネを意識した小型集中クーラントシステムを進めた。エネルギーの廃止に関してはマシニングセンタのY軸ブレーキがブレーキ解除するため電流を流していることを突き止め電磁ブレーキを、ばね推力を利用したエアブレーキに更新し、消費電力を抑えることができた。さらに、エネルギーの再利用では切削加工時のリターン水流の活用で生産エネルギーを創る小型水力発電を開発している。これらをはじめとした改善件数は年間300件以上におよび、その結果1810キロリットル/年(原油換算)以上の省エネを達成したという(図3)。

photo 図3 デンソーの省エネ推進の計画表(クリックで拡大)出典:デンソー

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