省エネ大賞決定、デンソーのエネ再生工場など省エネ技術が百花繚乱:省エネ機器(3/3 ページ)
ミサワホームとCSロジスティクスは建材の調達方法の改善により省エネ化を実現した。従来は各建材メーカーが個別に各工場・基地に納品していたが、これに代えて1台のトラックが最適なルートで建材メーカーを巡り回収していく方式を取った。
この方式ではトラック積載部分を独自のモジュールを用いて、ムダ無く多品種の建材が混載できるように、建材メーカーがブロック数や配達日をインターネットで入力するシステムを開発。発注すれば2日後には建材が到着するジャストインタイム(JIT)物流を実現している。こうした取り組みで2014年度のエネルギー使用量は2001年度比37%減を達成している。この他、工場の建材在庫が導入前の1984年には約50億円だったものが、現在は約3億円(94%減)と大幅な在庫削減にも結びついているという。
静岡ガスと日建設計は、静岡ガスの本社ビル建て替えに際し再生可能エネルギーなどを活用し省エネビルを実現した。具体的には以下の4つのシステムを実現した。
- コージェネレーション(CGS)からの排熱と太陽熱を冷房・デシカント再生熱源・暖房・給湯へカスケード利用するシステム
- 太陽熱とCGS排熱を再生熱源に利用し、井水熱とクールチューブを冷熱に利用する再生エネルギー活用型デシカント外調機システム
- 直列・並列切り替え型太陽集熱システム
- 4面自然採光などの採用で、再生可能エネルギーやCGS排熱の徹底利用
これらの取り組みにより、エネルギー削減を実現した。その結果、完成2年目の原単位は通常ビルの半分以下を達成したとしている。
パナソニックは車載用電池工場(加西事業所)で、データ活用による空調設備の高効率化を実現した。空気線図表を用いて空調設備の効率評価をする場合、従来は手計算していたが、同社ではPCを活用した自動計算システムを構築した。さらに、空気線図簡易モデル式を導出し、統計的手法による省エネ効果の見える化を図った。
これにより、除湿量傾向分析によるデシカント空調機の設定温度最適化、生産工程内温湿度シミュレーションによる給気温度の低温化、PID制御分析やLTD(配管汚れ)管理などによる吸収式・ターボ冷凍機の高効率運転化などを実現した。その結果、エネルギー使用量は原油換算で691キロリットル/年削減、ターボ冷凍機などの消費電力量は628メガワット時/年(約30%削減)削減を達成している。
図4 パナソニックの省エネへの取り組みの主な成果(クリックで拡大)※出典:パナソニック
- 貼るだけで窓を簡単に二重化、年間32.4%の電力コスト削減に
AGCグラスプロダクツは「ENEX 2016」(2015年1月27〜29日、東京ビッグサイト)に出展し、“後付けで窓を2重にできる”という同社の省エネ製品「アトッチ」をアピールした。開閉できない固定窓でも後から短い施工期間で2重化することが可能で、オフィスや店舗などの省エネ改修手法として採用が進んでいるという。
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電力システム改革や再生可能エネルギーによる分散型エネルギーシステムなど電力を取り巻く環境は大きな変化を迎えている。しかし、その一方で停滞しているとみられるのが使用電力の削減である。ただ、国際的な地球温暖化対策への要求が高まる他、各種規制もさらなる強まりを見せる中で「省エネ技術」のさらなる進歩は必須となりつつある。
- 強まる省エネ規制にどう対処するか、悩める担当者を救う“武器としてのIT”
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2030年までに新築建築物の平均でZEBを実現する政策目標が掲げられる中、経済産業省では、エネルギー基本計画に明記されたZEBの政策目標達成のために、ZEBロードマップ検討委員会を開催。ZEBの定義やロードマップなどの検討内容を発表した。
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