太陽電池の変換効率、ファーストソーラーが22.1%を達成太陽光

太陽電池メーカーの米国ファーストソーラーは、CdTe(カドミウムテルル)薄膜太陽電池の研究用セルで変換効率を22.1%まで高めるのに成功した。2011年以降、CdTe太陽電池の変換効率記録の更新は9回目になるという。

» 2016年02月25日 15時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 米国First Solar(ファーストソーラー)は、薄膜太陽電池の一種、CdTe(カドミウムテルル、カドテル)太陽電池セルの変換効率の世界記録を更新したと発表した。変換効率の記録は22.1%で研究用セルでの達成となる。

 CdTe太陽電池は、少量の材料で製造でき、製造時に必要なエネルギーが少なく、製造コストが低いことを特徴とする。新記録は、ニューポート・コーポレーションのテクノロジー・アンド・アプリケーションセンター(TAC)のPVラボにより認定された。薄膜太陽電池技術としては多結晶シリコン技術やCIS(CIGS)技術などがあるが、CdTe太陽電池はここ数年で急速に変換効率を高めている。2011年以降、実質的に9回目のCdTe変換効率記録の更新で「他の商用技術を大幅に上回る急速な性能向上が継続していることを明確に示している」とファーストソーラーではコメントしている。

 新記録を達成した研究用セルは、ファースト・ソーラーのオハイオ州ペリーズバーグにある製造工場および研究開発センターで組み立てられ、商用生産に適した工程と材料を使って実現したもの。記録はニューポートのTACラボの認定に加え、米国エネルギー省に属する国立再生可能エネルギー研究所(NREL)が作成する「研究用セル変換効率歴代記録の変遷(Best Research Cell Efficiencies)」でも報告されている(図1)。

photo 図1 「研究用セル変換効率歴代記録の変遷(Best Research Cell Efficiencies)」(クリックで拡大)出典:米国 国立再生可能エネルギー研究所(NREL)

 2015年第4四半期のファーストソーラーの主要製造ラインの太陽電池モジュール変換効率は16.4%であったとしており、今回の研究用セル変換効率の記録達成は、実際の製造環境において太陽電池の性能向上に大きく貢献するとしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.