ポイントは「住宅用」と「総合力」、三菱電機の太陽光発電事業戦略太陽光(1/3 ページ)

三菱電機は太陽電池モジュールの新製品を発表するとともに、太陽光発電関連の事業戦略を説明した。固定価格買取制度による買取価格低下の傾向などから太陽光発電システム市場は厳しい状況にあるが、ZEHや改正省エネ基準などにより、ニーズが増す住宅用を強化する他、他の家電製品など三菱電機としての総合力を発揮する方針だ。

» 2016年03月01日 11時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 太陽光発電を取り巻く市場環境は厳しさを増している。2012年7月から開始された全量買取制度のプレミアム期間が2015年6月に終了。固定価格買取制度(FIT)による買取価格も減少傾向が加速。2016年度の買取価格制度は2015年度からさらに下がり、非住宅用が前年度から3円安い24円に、住宅用も2円下がって31〜33円になるとされている。このような環境下で売電ニーズを見込んだ太陽光発電システムの単純な販売だけでは、事業環境は厳しくなってきているのが現状だ。

 一方で、「2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の兵器電ZEH(ネットゼロエネルギーハウス)の実現を目指す」とするZEH普及への取り組みや、「2020年までに新築住宅・建造物について段階的に省エネルギー基準の適合を義務化する」とする改正省エネ基準の動きなどから、特に新築住宅におけるエネルギー効率の向上への動きが広がっており、こうした中での太陽電池の活動の幅が広がりそうな気配を見せている。

住宅用と総合ソリューションに注力

 こうした中で三菱電機が注力するのが「住宅用」と「総合ソリューション」である。

photo 三菱電機 リビング・デジタルメディア事業本部 電材住設PV事業部長の津瀬保彦氏

 三菱電機 リビング・デジタルメディア事業本部 電材住設PV事業部長の津瀬保彦氏は「国内住宅用太陽光発電市場はZEHや改正省エネ法などの動きから堅調だと見ている。またこれらの動きも踏まえ住宅用設備品や家電製品における豊富なラインアップを生かし生活そのものを豊かにするソリューション提案や販売を強化していく」と述べている。

 さらにポイントと挙げるのが、同社が2014年8月に発表したスマートハウスソリューション「ENEDIA(エネディア)」である。ENEDIAはエネルギーを「つくる」「ためる」「かしこく使う」をコンセプトとした、スマートハウスソリューションで太陽光発電システムや蓄電池、電気自動車(EV)、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)、三菱電機の各種空調機器や照明機器などを組み合わせて、エネルギーを使わないのではなく、無駄をなくしつつ、賢く積極的に使うことを目指したものである。

 2016年2月29日の発表ではこの「つくる」「ためる」「かしこく使う」それぞれでの展開を強化する方針を示した。

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