コープさっぽろの組合員は150万人を超えていて、北海道の総世帯数(270万世帯)の5割以上を占めている。電力の販売対象は組合員に限られるが、数多くの組合員がFIT電気メニューを選ぶと再生可能エネルギーの電力が足りなくなる可能性がある。
同じグループのエネコープが販売する「ベーシック電気メニュー」は火力発電が中心の料金プランで、「FIT電気メニュー」よりも単価を引き下げた。月間の使用量が280kWhを超えた場合に適用する3段目の単価は北海道電力の「従量電灯B」よりも8%安く、金額の差は2.67円になる。さらに灯油セット割の2%を加えると10%の割引率になり、1kWhあたり3.34円も安い(図3)。
この「ベーシック電気・灯油セット割」のモデル料金を「従量電灯B」と比較すると、月間の使用量が標準的な260kWh・30Aの場合で月に252円、年間で3024円の差がつく(図4)。使用量が多い400kWh・40Aの家庭では年間で8124円も割安になる。
一方の北海道電力は従来の料金プランを継続しながら、1種類だけ4月1日から料金を割り引く。1日を3種類の時間帯に分けて単価を変えた「eタイム3」と呼ぶメニューが対象だ。夜22時〜朝8時の夜間の単価を大幅に安く設定した。
契約電力が大きい10kVA(キロボルトアンペア)以上の戸建て住宅が対象で、オール電化住宅のように夜間でも大量の電力を使う場合に「従量電灯B」よりも割安になる。4月1日から[Sプラン割引]を開始して、毎月の電気料金を一律で1000円割り引く(図5)。合わせて契約電力が6kVA(60A相当)以下の家庭まで対象を広げる。
ただし基本料金は「従量電灯B」の1.5倍以上になる。電力量料金も夜間は半額程度まで下がるが、それ以外の時間帯の単価は高い。既存の「eタイム3」の契約者をつなぎ止める効果はあるものの、「従量電灯B」の利用者にとってはさほど魅力的には見えない。
コープさっぽろが意欲的な料金プランを打ち出したことで、北海道でも利用者の獲得競争が激しくなっていく。すでに北海道ガスが電力と都市ガスのセット割引プランの申し込みを1月から受け付けている。契約電力が30A未満の家庭でも都市ガスを利用していれば対象になる。
基本料金は北海道電力の「従量電灯B」と同額で、電力量料金を一律に3%安く設定した(図6)。さらに付帯割引が1〜6%付いて、最大で9%の割引率になる。たとえば燃料電池のエネファームを利用している家庭では3%の付帯割引が加わって合計6%を割り引く仕組みだ。都市ガスの利用者で電力の使用量が多くない家庭では、コープさっぽろの「ベーシック電気メニュー」よりも割安になる。
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