政府は2030年における国全体の電源構成の中で、再生可能エネルギーの比率を22〜24%に高める方針だ。2014年度の時点では水力を含めた再生可能エネルギーの比率は12.2%で、震災後の3年間に1.8ポイント上昇した(図7)。これ以上のペースで再生可能エネルギーを増やしていくためには、企業や家庭が再生可能エネルギーの電力を積極的に購入する必要がある。
コープさっぽろに続いて再生可能エネルギーを多く含む電力を販売する小売電気事業者が全国で増えていく。ただし現実には再生可能エネルギー100%の電力を販売することはむずかしい。当面はエネルギーミックスの目標値が1つの判断基準になる。最初からハードルを上げ過ぎずに、再生可能エネルギーの比率が20%を超えれば環境価値の高い電力と考えるべきだろう。
現在のところ市場に流通する電力のうち再生可能エネルギーは1割強しかないことを考えると、小売電気事業者が電源の開発・調達を積極的に進めなければ再生可能エネルギーの比率が20%を超える電力を販売し続けることはできない。
コープさっぽろは以前から再生可能エネルギーの電源開発に取り組んできた。日射量の多い帯広市の2カ所に太陽光発電所を建設して、2013年から運転を続けている。それでも2016年1月の発電量は約20万kWhで、道内の一般家庭の使用量(月間280kWh)に換算して700世帯分を超える程度だ(図8)。6月1日から「FIT電気メニュー」の供給を開始するまでに、大量の電源を確保する必要がある。
コープさっぽろが推進するもう1つの再生可能エネルギーはバイオマスである。函館市の近くでバイオガス製造プラントを運営している。家庭で大量に発生する生ごみのほか、酪農家から家畜の糞尿を収集して、メタン発酵によるバイオガスを製造する(図9)。このバイオガスを使って発電した電力を販売することも可能だ。
生協だけではなくて地方の自治体が電力の小売に乗り出す動きも活発に始まっている。再生可能エネルギーの地産地消を通じて地域の経済を活性化する狙いがある。小売全面自由化によって、地方を中心に再生可能エネルギーの電力が広がっていく。
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