再生可能エネルギー60%の電力を6月から、電力会社よりも安い料金で電気料金の新プラン検証シリーズ(26)(1/3 ページ)

北海道で5割以上の家庭が加入するコープさっぽろが注目の料金プランを発表した。固定価格買取制度で買い取った電力を含めて再生可能エネルギーの比率を60%に高めたメニューを提供する。しかも料金は北海道電力の標準メニューより安く、灯油とセットで最大3%割り引く。

» 2016年03月04日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

連載:「電気料金の新プラン検証シリーズ

 いよいよ再生可能エネルギー主体の電力が家庭でも購入できるようになる。北海道内で食品や日用品のほか、灯油や保険などを販売する生活協同組合コープさっぽろが家庭向けの電力供給の申し込みを3月1日に受付開始した。グループ会社のトドック電力とエネコープが離島を除く北海道の全域で6月1日から電力を供給する。

 2社はそれぞれ1種類だけメニューを用意した。トドック電力の「FIT電気メニュー」とエネコープの「ベーシック電気メニュー」である(図1)。「FIT電気メニュー」は再生可能エネルギーで発電した電力を60%含むことが最大の特徴だ。3月1日までに料金プランを発表した小売電気事業者の中では最高の比率である。環境にやさしい再生可能エネルギーを推進する生協の意気込みが表れている。

図1 コープさっぽろグループの電気料金メニュー。出典:トドック電力

 「FIT電気」は再生可能エネルギーで発電した電力のうち、固定価格買取制度(FIT:Feed-In-Tariff)で買い取った電力のことである。買取に必要なコストを国民全体が電気料金で負担しているため、それ以外の再生可能エネルギーの電力と区別して表示するように政府が義務づけた。実際には再生可能エネルギーで発電してCO2(二酸化炭素)を排出しない。

 トドック電力の「FIT電気メニュー」は契約電力が30A(アンペア)以上の家庭を対象にする。北海道電力の標準プランである「従量電灯B」と同じ料金体系になっている。月額固定の基本料金は同額で、使用量に応じて課金する電力量料金の単価を0.5〜1%低く設定した(図2)。毎月の電力の使用量に関係なく割安になるプランだ。

図2 「FIT電気メニュー」の単価。出典:トドック電力

 さらにコープさっぽろが定期的に配達する灯油とセットで契約した場合には、電力量料金を一律で2%割り引く。3段階の料金のうち1段目と2段目は2.5%に、月間の使用量が280kWh(キロワット時)を超える3段目は3%の割引率になる。北海道では冬に電力使用量が280kWhを超える家庭が多いため、寒い冬には電気料金の割引効果が大きくなる。

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