激戦区の関西電力エリアに、生協が低価格・低CO2で挑む電気料金の新プラン検証シリーズ(14)(1/3 ページ)

大阪府の南部で50万人の組合員を抱える生協が関西電力に対抗する料金プランを打ち出した。毎月の使用量が標準の300kWhの場合に4%安くなり、使用量が多いと割引率が10%以上のプランもある。大阪ガスや携帯電話会社のセット割引とも競争しながら、CO2排出量の少ない電力を販売していく。

» 2016年01月29日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

連載:「電気料金の新プラン検証シリーズ

 全国の生活協同組合の中でも再生可能エネルギーの導入に積極的な大阪いずみ市民生活協同組合(略称:いずみ市民生協)が、組合員を対象に電力販売の事前受付を1月25日に開始した。関西電力が原子力発電所の再稼働を進めて電気料金の値下げをもくろむのに対抗して、再生可能エネルギーを多く含む電力を低料金で販売する計画だ。

 いずみ市民生協が用意した料金プランは2つある。そのうち毎月の使用量が標準並みの家庭に向けたものが「ベーシックプラン」だ。月間の使用量が120kWh(キロワット時)を超えると、関西電力の標準プランである「従量電灯A」と比べて単価が5円以上も安くなる。一般家庭の標準的な使用量300kWhで計算すると、年間の電気料金の差は4040円になり、割引率は4.1%を見込める(図1)。

図1 いずみ市民生協の「ベーシックプラン」の電気料金(年間)。関西電力の「従量電灯A」と比較。出典:大阪いずみ市民生活協同組合

 使用量が300kWhを超えても単価は2円弱安く、使用量が増えるほど割引率は大きくなっていく。ただし120kWh以下に適用する1段目の単価は従量電灯Aよりも0.14円ながら高い(図2)。基本料金も従量電灯A(最低料金から15kWhまでの使用量を引くと実質31円)と比較して420円高くなる。このため月間の使用量が200kWh以下だと割高になってしまう。

図2 「ベーシックプラン」(上)と「従量電灯A」(下)の単価。出典:大阪いずみ市民生活協同組合、関西電力

 ベーシックプランの料金体系は先行する大阪ガスに合わせた形だ。大阪ガスは関西電力の管内で1月4日に電力の申し込みを受付開始した。標準的な家庭を対象にした「ベースプランA」で4段階の単価を設定している(図3)。月間の使用量が300kWhを超える家庭では、関西電力の従量電灯Aよりも年間に2%ほど安くなる。

図3 大阪ガスの「ベースプランA」の単価とオプション割引。出典:大阪ガス

 さらにガスとセット割引で1%、2年契約で2%の割引が加わり、合計で5%の割引率になるプランだ。現在のところ関西電力の管内では、大阪ガスのベースプランAが各社の単価や割引率の目安になっている。いずみ市民生協のベーシックプランは1段目の単価だけ大阪ガスよりも0.19円高く、2段目以降を1円以上安く設定した。電力単体ならば大阪ガスに対抗できる。

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