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» 2016年03月08日 09時00分 公開

豚の排せつ物からバイオ燃料を、火山の島では地熱発電と水素製造もエネルギー列島2015年版(46)鹿児島(4/4 ページ)

[石田雅也,スマートジャパン]
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人口130人の離島で水素を作る構想

 鹿児島県では太陽光発電の導入量も多い。固定価格買取制度の認定を受けた太陽光発電設備は全国3位の4000MWに達した(図9)。運転を開始した規模では6番目だ。風力発電の運転規模は2位、中小水力発電は4位に入る。地熱発電も認定設備の規模は3位に入る。

図9 固定価格買取制度の認定設備(2014年12月末時点)

 太陽光発電では七ツ島メガソーラー発電所よりも大規模なプロジェクトが進んでいる。太平洋に突き出た大隅半島の鹿屋市(かのやし)から大崎町にまたがる200万平方メートルの用地に新しいメガソーラーを建設中だ。30年以上も前にゴルフ場の建設計画を中止した土地を利用する。

 ゴルフ場のレイアウトを生かして、合計で34万枚にのぼる太陽光パネルを設置する(図10)。発電能力は92MWになり、九州で最大の「大分ソーラーパワー」(82MW)を上回る。2017年度中に運転を開始する予定で、年間の発電量は9900万kWhを想定している。2万7500世帯分の電力になり、鹿屋市の総世帯数(4万5000世帯)の6割に相当する。京セラなど4社が総額350億円を投じる壮大なプロジェクトだ。

図10 「鹿屋大崎ソーラーヒルズ太陽光発電所」の完成イメージ。出典:京セラほか

 対面する薩摩半島の先端にある指宿市(いぶすきし)では、地熱発電の「山川発電所」が30MWの運転規模で1995年から稼働を続けている。温泉の名所で知られる指宿市には保養施設が数多くある。そのうち市が運営する2カ所の施設の敷地を利用して、「地熱の恵み活用プロジェクト」が2015年5月に始まった(図11)。

図11 「地熱の恵み活用プロジェクト」の実施場所。出典:指宿市市長公室

 海に面した場所にある2つの施設では、地下に豊富な地熱資源が見込まれている。指宿市が資源量の調査を実施する一方、公募で選ばれた事業者が市から蒸気を購入して地熱発電を実施する。県内でスポーツクラブを運営する民間企業と九州電力が共同事業者に決まり、2018年に地熱発電を開始する予定だ。さらに発電後の熱水を農業などに利用して、地熱を多段階に活用するプロジェクトにも取り組む。

 このほかに県内の離島では、地熱発電の電力から水素を製造する未来志向の構想がある。その場所は本土から南へ40キロメートル離れた硫黄島(いおうとう)だ。人口は約130人、周囲の長さは20キロメートル程度の小さな島だが、島内には白煙を上げる火山があって、地下の浅い場所に高温の地熱資源の存在が確認できている(図12)。

図12 硫黄島の全景(左)と所在地(右)。出典:三島村役場

 川崎重工業と大林組が日本で最大級の液化水素プラントと地熱発電所を硫黄島に建設することを検討している。発電能力が60MWの地熱発電所の電力を使って、年間に燃料電池車で6万4000台分の液化水素を製造する計画だ。実現すれば世界でも例のない再生可能エネルギーの生産拠点になる。

*電子ブックレット「エネルギー列島2015年版 −九州編 Part2 −」をダウンロード

2016年版(46)鹿児島:「小水力発電と海流発電が離島に、天候に左右されない電力を増やす」

2014年版(46)鹿児島:「水力と地熱を中核の電力源に、スマートグリッドで再エネを増やす」

2013年版(46)鹿児島:「南国の離島に豊富な自然エネルギー、火力依存からの脱却を図る」

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