玄界灘の風で大型の風車を回す、九州電力グループが風力発電計画に着手自然エネルギー(1/2 ページ)

佐賀県の北部にある海沿いの山の上に、九州電力グループが風力発電所を建設する計画を開始した。高さが100メートルを超える大型の風車8基程度を設置して最大で28MWの電力を供給する。建設前の環境影響評価の手続きを進めて、順調に行けば2020年までに運転を開始できる見通しだ。

» 2016年03月22日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
図1 「唐津・鎮西ウィンドファーム(仮称)」の建設予定地。出典:九電みらいエナジー

 九州電力グループが風力発電所を建設する場所は唐津市の北側にある(図1)。目の前には玄界灘が広がり、海から強い風が吹いて風力発電に適した場所だ。隣接する玄海町には九州電力の原子力発電所があるため送電網も充実している。

 「唐津・鎮西(からつ・ちんぜい)ウィンドファーム(仮称)」は、海の近くに連なる山の上に建設する計画だ(図2)。発電事業を担当する九電みらいエナジーによると、1基あたりの発電能力が2〜3.5MW(メガワット)の風車を8基ほど設置する。最大で28MWの風力発電所になる。

図2 風力発電事業の実施想定区域。出典:九電みらいエナジー

 風力発電の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)を標準の20%で計算すると、最大の構成の場合で年間の発電量は4900万kWh(キロワット時)に達する。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して約1万3000世帯分の電力になる。唐津市の総世帯数(5万世帯)の4分の1に相当する。

 設置する風車は羽根(ローター)の直径が80〜110メートルで、中心部(ハブ)の高さは70〜90メートルを想定している。風車の最高到達点は110〜140メートルになる。風力発電では発電能力が10MW以上の場合には、環境影響評価の手続きを完了することが義務づけられている。

 九電みらいエナジーは3月10日に「計画段階環境配慮書」を経済産業大臣に提出して環境影響評価の手続きに入った(図3)。今後は「方法書」「準備書」「評価書」の順に、環境に対する影響評価と保全対策をまとめながら、国や地元の意見を取り入れて建設計画を確定させる。

図3 運転開始までの流れと環境影響評価の手続き。出典:九電みらいエナジー

 風力発電の環境影響評価には今のところ3年程度かかる。九電みらいエナジーは環境影響評価の手続きを完了した後に、事業化を最終的に判断して設計・建設に入る。着工から運転開始まで2年を予定している。手続きと建設工事が順調に進むと、2020年には運転を開始できる。

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