現在利用可能な「蓄電」システムを図4に挙げる。図4の縦軸は放電の応答時間だ。最も応答が早いのはキャパシタ技術。ミリ秒単位の応答が可能だ。レドックスフロー電池は応答が最も遅くなっている。瞬時に放電する用途には向かないとされてきた。横軸は出力(パワー)。キャパシタ技術は大型化したとしても1MWまでだが、右上の揚水技術を利用すれば1GWまで対応できる。
図4からレドックスフロー電池と競合する技術はNAS電池やリチウムイオン蓄電池、先進的鉛蓄電池(Advanced Lead - Acid Battery)だと分かる。図1でこの3種類の電池を挙げたのはこれが理由だ。
レドックスフロー電池は、リチウムイオン蓄電池とはかなり異なる原理で動作する。
どう違うのか。発電をになう「反応セル」の外部から連続的に反応物質を供給して動作することだ。これは燃料電池と同じ仕組み。水素を利用した燃料電池と異なるのは、充電が可能なこと。反応物質が閉鎖系に閉じ込められているからだ。つまり蓄電可能な燃料電池と言えるだろう。
EFEはレドックスフロー電池の特徴をこう言い表している。出力(kW)を決める「反応セル」と、容量(kWh)を決める「タンク」が分離されているため、設計の自由度が高く、顧客の要望にあった容量を容易に実現できるという利点だ。リチウムイオン蓄電池のように、固体に電気を蓄積するタイプでは、両方を一度に大型化しなければならない。大型化すればするほど、レドックスフロー電池が有利だという主張の根拠はこれだ。
一般的なレドックスフロー電池の構成を図5に示す。中央にある四角柱が反応セル、両側にある円柱がタンクだ。負極(アノード)溶液と正極(カソード)溶液は別々のタンクに分かれている。タンク容量を増やせば蓄電システムの容量が増えることが分かる。
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