東京電力のスマートメーター遅延が拡大、最大2カ月も先送りに電力供給サービス(2/2 ページ)

» 2016年04月15日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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一部のスマートメーターは10月以降も遅れる

 東京電力パワーグリッドは小売電気事業者にヒアリングを実施して、今後の契約変更の見通しをもとに、スマートメーターの設置時期がどのくらい遅れるかを想定した。東京電力の小売部門(4月1日から東京電力エナジーパートナーに分社)が需要家とのあいだで契約を変更した分を含めて、3月には60万件を超えたが、4月は40万件と少なくなる見込みを立てている(図3)。

図3 託送供給契約の成立件数(上)と今後の見込み(下)。出典:東京電力パワーグリッド

 さらに5月以降は月間に15万件の契約変更が成立する想定だ。3月と4月は小売電気事業者が事前に申し込みを受け付けていた分が数多く含まれているためである。ただし「小売全面自由化が開始されて間もないことや、各小売電気事業者の今後の販売戦略等に大きく左右されることから、そもそも想定は困難であるが、一定の仮定に基づき想定した」もので、大幅に変動する可能性は十分にある。

 この想定に対して、実際に設置できるスマートメーターの台数が上回るのは5月に入ってからになる。4月〜9月に見込まれる契約変更は合計115万件で、その間に129万台のスマートメーターの設置を完了できる見通しだ(図4)。3月末の時点で遅延していた14万台を含めて、9月中に解消できるかどうかギリギリの状況である。

図4 スマートメーターの設置台数の見込み(4月〜9月)。出典:東京電力パワーグリッド

 月別に見ると、4月〜6月に契約を変更した場合には最大で2カ月も遅れてしまう(図5)。7月と8月の契約分も翌月にならないとスマートメーターの設置は完了しない。しかも電力の使用量が多い家庭や商店に設置する120A(アンペア)のスマートメーターの調達が間に合わず、5月から数が足りなくなる見込みだ。メーカーに増産を依頼中だが、10月以降も遅延が発生することは避けられない状態にある。

図5 スマートメーターの申し込みから設置までの目安(画像をクリックすると拡大)。出典:東京電力パワーグリッド

 このように膨大な件数の遅延が生じていることに対して、東京電力パワーグリッドは「電気をお使いになる皆さまに不利益が生じないよう、最大限考慮してまいります」と抽象的な説明に終始している。実際にスマートメーターを利用したサービスを受けられない需要家にどのような補償内容で対応するのかを早急に公表して、需要家のみならず小売電気事業者にも不利益が生じないように配慮する必要がある。

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