東京電力のスマートメーターさらに遅れる、4月1日に間に合わないケース多発も電力供給サービス(1/2 ページ)

小売全面自由化に水をさす事態が広がっている。契約変更に必要なスマートメーターの設置が東京電力の管内で大幅に遅れて、自由化が始まる4月1日に間に合わないケースが大量に発生する見通しだ。4月1日までに設置が必要な32万台に対して、3月21日の時点で5万台強しか設置できていない。

» 2016年03月25日 17時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

既報(3月15日):「東京電力が大失態、スマートメーターの設置に大幅な遅れ」

続報(4月15日):「東京電力のスマートメーター遅延が拡大、最大2カ月も先送りに」

 まさに大失態だ。国を挙げて小売全面自由化に取り組んでいるにもかかわらず、最大手の東京電力が自由化を阻害するような対応を続けている。経済産業省は東京電力に対してスマートメーターの設置状況に関する2回目の報告を3月22日に求めた。しかし東京電力が3月24日に回答した内容は、経済産業省の求めた情報を十分に反映しておらず、4月以降の見通しについても不明確な内容に終始した。

 前回の3月2日に東京電力が経済産業省に報告した時点では、小売電気事業者による契約変更分に対して3月中に23万台のスマートメーターを設置する計画だった(図1)。ところが新たに報告した内容によると、3月21日までに5万6000台しか設置できていない。計画の4分の1にも満たない台数だ。

図1 3月2日時点のスマートメーター設置計画(上)、3月21日時点のスマートメーター設置台数(下)。「動静情報」も契約変更と同様。出典:東京電力

 東京電力は「3月末までに23万台の工事に向けて全力で取り組む」と回答しただけで、具体的な設置計画を示していない。3月24日の報告で計画台数を明らかにできない状況では、31日までに計画どおりに23万台の設置を完了することは無理だろう。

 実際のところ4月1日までに設置しなくてはならないスマートメーターの台数はもっと多い。経済産業省は2週間前の3月17日までに契約変更が成立した場合には、4月1日の時点でスマートメーターの設置を完了して、電力供給の切り替え(スイッチング)を可能にするように電力会社に求めている(図2)。

図2 電力の供給関係を切り替えるスイッチングの流れ。出典:電力広域的運営推進機関

 東京電力の報告によると、小売電気事業者がスイッチングに必要な託送供給契約の変更を3月17日までに完了した件数は合計で38万5000件にのぼる(図3)。このうちすでにスマートメーターの設置が完了している分を除くと、32万件が新規の設置対象になる。たとえ3月中に23万台を設置できたとしても9万台が足りない状況だ。

図3 託送供給契約の成立件数。出典:東京電力
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