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» 2016年05月06日 09時00分 公開

太陽光発電の出力制御が頻繁に発生、種子島で早くも今年10回目電力供給サービス(3/3 ページ)

[石田雅也,スマートジャパン]
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内燃力発電の出力はさらに抑えられた

 こう見ると出力制御は妥当だが、回避する方法はなかったのか。九州電力が太陽光発電の出力を想定する方法の中に、現実的でない点が1つある。太陽光発電の出力が最小になる想定値の算出方法だ。天候が急変して太陽光発電の出力がどのくらいまで低下するかを予測するものである。九州電力は種子島で2014年12月に太陽光発電の出力が39分間に17.2%まで急減した時の実績値を採用している。

 この低下率を2016年3月20日にあてはめると、太陽光発電の出力が最大で8890kWに対して、最小では1529kWまで下がる想定になる(図8)。さらに島内の供給力の予備率(需要に対する供給力の余剰率)を最低でも10%確保できるように、内燃力発電設備の出力を割り当てた。それでも太陽光発電の出力の最小値を現実的な水準で想定すれば、内燃力発電設備の出力はもっと抑えられる。

図8 太陽光発電の出力が最小の場合と最大の場合の供給力の想定(2016年3月20日)。出典:電力広域的運営推進機関

 たとえば6000kWの内燃力発電設備のうち1台を4500kWに置き換えると、最小出力を750kW引き下げることができる。その分だけ太陽光発電の出力を増やせるため、抑制する量は少なくて済む。春の太陽光発電の出力低下の想定に冬の12月の実績を適用することが妥当なのか、広域機関が今後検証すべき課題の1つである。

 もう1つの課題は蓄電池の活用だ。九州の離島のうち種子島を含む4カ所では、大型の蓄電池を使って太陽光や風力による出力の変動を最適に制御する実証試験を実施している(図9)。

図9 九州の離島における蓄電池実証試験。出典:九州電力

 種子島では3000kWの出力がある蓄電池を変電所に設置して、2014年3月から試験を続けてきた。昼間に太陽光発電の出力が大きくなっても、余った電力を蓄電池に充電して需給バランスを調整できる。最大で3000kWの電力を充電できれば、これまでに実施した出力制御をすべて回避できた可能性が大きい。

 実証実験は国の補助金で2016年度末まで実施する予定で、今のところ九州電力は試験結果を公表していない。種子島で出力制御を実施した日には蓄電池が有効に機能したはずだが、広域機関の検証結果の中でも蓄電池の効果については触れていない。多額の国家予算を使って実施している試験であり、重要性を考えれば途中経過であっても公表すべきである。

 九州の離島のうち、すでに6島では太陽光発電設備の規模が送配電ネットワークの接続可能量を上回る状況になっている(図10)。その中でも種子島と長崎県の壱岐(いき)の2島で太陽光発電設備が過剰になりつつある。壱岐でも2016年に入って4月に3回、さらに5月1日(日)にも出力制御を実施している。

図10 九州の離島における太陽光発電設備の接続状況(2016年3月末時点)。出典:九州電力

 日本全体では電力を必要とする有人の離島が327カ所にあり、そのうち3分の1の100カ所以上が九州に属している。主力の電源は種子島と同様に内燃力発電設備だ(図11)。燃料は価格の高い石油で、CO2(二酸化炭素)の排出量が多い点も見過ごせない。

図11 九州の離島における主要な電源(2015年3月末時点)。出典:九州電力

 しかも内燃力発電設備にトラブルが発生すると、島内の供給力は大幅に低下して、大規模な停電を引き起こす可能性がある。太陽光や風力を含めて再生可能エネルギーによる発電設備を分散させれば、非常時の供給力の低下を補うことができる。そのためにも出力制御の実施頻度を最小限に抑えて、再生可能エネルギーの発電設備を効果的に増やしていく必要がある。

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