人工知能で電力需要を予測、日本気象協会が需給コスト削減に本腰太陽光(1/2 ページ)

太陽光発電の出力予測などに役立つ日射量予測サービスを提供している日本気象協会が、同協会のエネルギー事業戦略について説明した。最新の気象衛星の活用による予測精度の高精度化など、予測サービスのさらなる向上を目指すとともに、人工知能技術などを活用した電力需要予測サービスの開発も推進する。目指すのは再生可能エネルギーの導入拡大などにより課題となっている需給調整コストの削減だ。

» 2016年06月03日 13時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 日本気象協会は2016年6月2日に東京都内で会見を開き、日射量予測サービスなどを手掛けるエネルギー事業の概要と今後の戦略について説明した。日本では太陽光発電などの再生可能エネルギー電源の導入拡大が進んでいる。一方で課題となるのが天候に大きく左右される出力の予測や制御だ。日本気象協会では以前から提供している日射量予測サービスなどの高性能化を推進し、電力会社や発電事業者の発電量の予測ニーズを取り込んでいきたい考えだ。さらに電力の需要予測サービスの開発も進めていくとしている。

 日本気象協会ではさまざまな分野のデータ提供・解析サービスを提供している。特に太陽光発電の出力予測などに役立つサービスとして提供しているのが「SOLASAT(ソラサット)」シリーズである。2016年5月には気象衛星「ひまわり8号」の気象観測データをもとにした日射量予測する「SOLASAT 8-Now」の提供を開始した。 

 気象衛星ひまわりは最新の8号の運用が2015年7月から始まった。SOLASAT 8-Nowはこの最新のひまわり8号による観測データを活用することで、従来より予測データの高精度化を図ったのが特徴のサービスだ(図1)。

図1 従来の「SOLASAT Now」と「SOLASAT 8-Now」の比較(クリックで拡大)出典:日本気象協会

 従来のひまわり7号のデータを活用していたサービスの空間分解能は1キロメートルで、更新間隔は30分。実データからの遅延も30分あった。しかし最新版では1平方メートル当たりの日射量を空間分解能500メートル、更新頻度2分半の精度で予測できる。データ提供の時間も半分以下になり、観測から10〜15分後に提供できるという。

 今後はひまわり8号の観測データを他のサービスにも提供する計画で、2016年夏には数時間先まで日射量予測が行える新サービス「SOLASAT 8-Nowcast」をリリースする計画だという。

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