バイオマス発電で全国1位、太陽光と風力の勢いも衰えずエネルギー列島2016年版(8)茨城(3/4 ページ)

» 2016年06月14日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

駐車場のカーポートがメガソーラーに

 茨城県のメガソーラーは県内の全域で拡大を続けている。北部の臨海地域では、石油大手のJXエネルギーが発電能力2MWの「日立メガソーラー発電所」を2016年3月に運転開始した。ガソリンなどの石油製品を貯蔵する油槽所の跡地に建設したもので、2万7000平方メートルの用地いっぱいに太陽光パネルを並べた姿は壮観だ(図8)。

図8 「日立メガソーラー発電所」の全景(画像をクリックすると拡大)。出典:JXエネルギー

 同じ北部でも山間地域ではゴルフ場の跡地がメガソーラーに変わる。面積の8割を山岳地帯が占める大子町(だいごまち)で34MWのメガソーラーを建設する計画が進んでいる(図9)。2016年2月に閉鎖したゴルフ場の跡地を有効に活用するために、大子町が発電事業者を誘致した。2年後の2018年4月に運転を開始する予定で、年間に7万7000世帯分の電力を供給できる見込みだ。

図9 「大子ヴィレッジ太陽光発電所」の完成イメージ。出典:大子町まちづくり課

 茨城県を中心に太陽光発電事業を展開するジャパンパワーサプライが建設・運営する。ゴルフ場にはホテルやクラブハウスも併設していたが、付帯施設を含めて町に寄付した。大子町では施設を生かして通信制の高等学校を誘致するなど、地域の雇用確保や環境教育にも利用する計画だ。

 太陽光発電の取り組みは商業施設にも広がっていく。南部の阿見町(あみまち)にある「あみプレミアム・アウトレット」では、駐車場にカーポート型の太陽光発電設備を導入した。500台分の駐車スペースを使って、合計4000枚の太陽光パネルをカーポートの屋根に取り付けている(図10)。

図10 「あみプレミアム・アウトレット」のカーポート型太陽光発電設備(上)、設置場所(下)。出典:三菱商事・サイモン、オリックス

 全体の発電能力はメガソーラー級の1MWである。2016年3月に運用を開始して、年間の発電量は115万kWhを見込んでいる。その全量をアウトレットの施設の共用部で消費する計画で、年間の消費電力量の約80%を太陽光発電でまかなうことができる。アウトレットを運営する三菱地所グループが環境経営の一環で実施する取り組みだ。

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