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» 2016年07月25日 11時00分 公開

再生可能エネルギーの出力抑制、九州本土で実施の可能性が高まる自然エネルギー(2/3 ページ)

[石田雅也,スマートジャパン]

太陽光発電の導入量は九州で減少傾向に

 九州本土の太陽光発電設備の導入量は固定価格買取制度が始まった2012年7月から急速に拡大した。ところが太陽光発電は天候によって出力が変動するため、電力の安定供給を懸念する九州電力は2014年9月に、太陽光をはじめ再生可能エネルギーの発電設備の接続を保留する措置に踏み切って大きな波紋を呼んだ。

 これを契機に政府は太陽光と風力発電の「接続可能量」を規定する新ルール(指定ルール)を2015年1月に導入した。九州本土では太陽光発電の接続可能量を817万kW(キロワット)に、風力発電の接続可能量を100万kW(2015年度から180万kW)に制限することになった。接続可能量を超えてから申し込んだ発電設備に対しては、九州電力が指定ルールに基づいて無制限・無補償で出力制御を要請できる。

 九州本土で指定ルールの対象になった太陽光発電設備は2016年5月末時点で152万kWに達した(図4)。すでに接続可能な状態にある太陽光発電設備の15%に相当する。一方で新たな接続の申し込みは減ってきた。太陽光発電設備を建設できる土地が少なくなったことに加えて、無制限・無補償で出力を制御する指定ルールが発電事業者の開発意欲を失わせている。

図4 九州本土の太陽光発電設備の導入状況(画像をクリックすると拡大)。「指定ルール」:無制限・無補償の出力制御。出典:九州電力

 代わりに風力発電の導入量が増加傾向にある(図5)。それでも接続可能量の180万kWに到達するまでには相当の時間がかかる見込みで、当面は指定ルールの対象になる風力発電設備は生まれない。太陽光発電設備だけが厳しい出力制御の措置を受ける。

図5 九州本土の風力発電設備の導入状況(画像をクリックすると拡大)。出典:九州電力

 出力制御の対象になる発電設備と制御量は九州電力が決定する。気象データをもとに需要と供給力を想定したうえで、前日の17時をめどに発電事業者に対して出力制御を指示する決まりだ(図6)。さらに当日早朝の気象データで供給力を見直して、出力制御が不要な場合には解除の連絡を送る。連絡が来ない限り、発電事業者は指定の時刻に出力制御を実施しなくてはならない。

図6 出力制御の指示・実施スケジュール。出典:九州電力

 出力制御の実施方法は2通りに分かれる。無制限・無補償の出力制御の対象になる指定ルールの事業者は発電設備に出力制御機能を追加して、1時間単位で自動制御できるようにすることが求められる(図7)。そのほかの発電設備は手動で操作して、太陽光発電ならば1日単位で出力を制御する。

図7 太陽光・風力発電の出力制御方法(画像をクリックすると拡大)。PCS:パワーコンディショナー。出典:九州電力

 手動による現地操作の場合には九州電力から前日に電話かメールで指示が届く。一方の自動制御では九州電力から前日にメールが届いたうえで、当日の指定時刻になると九州電力のサーバーが発電設備に対して遠隔で出力を制御する(図8)。すでに九州電力は遠隔操作で太陽光発電設備の出力を制御する実証試験を2015年度に実施済みだ。

図8 出力制御の指示から実施までの流れ(画像をクリックすると拡大)。出典:九州電力

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