電力小売の契約変更が早くも伸び悩む、5月末の累計で80万件弱:電力供給サービス(2/2 ページ)
販売電力量は全国の合計で628.8億kWh(キロワット時)だった(図3)。前年同月の644.5億kWhと比べて2.4%の減少である。企業や自治体が利用する特別高圧・高圧は1.8%の減少にとどまったものの、新たに自由化の対象になった家庭・商店向けの低圧が4.5%減と大きく落ち込んだ。
図3 供給区域別の販売電力量(2016年5月分)。MWh:メガワット時(1000キロワット時)。出典:電力・ガス取引監視等委員会
このうち新規参入の小売電気事業者が販売した電力量は40.5億kWhで、全体に占めるシェアは6.4%になった(図4)。全国10地域の中で小売電気事業者のシェアが最も高いのは東京の10.1%、次いで関西の10.0%だ。市場規模が大きい2つの地域でシェアが10%を超えている。
図4 事業者区分別の販売電力量(2016年5月分)。MWh:メガワット時(1000キロワット時)、みなし小売電気事業者=電力会社(10社)。出典:電力・ガス取引監視等委員会
東京では特別高圧・高圧の分野で小売電気事業者のシェアが14.2%に達した。一方の低圧は1.5%である。関西では特別高圧・高圧のシェアは14.0%、低圧のシェアは1.4%になっている。10地域の合計では特別高圧・高圧が9.1%、低圧が0.8%である。特別高圧・高圧のシェアは2015年度には8%台だったことから、低圧の自由化に合わせて小売電気事業者のシェアが伸びてきた。
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