ワイヤレス充電で走るEVバス、課題の「妨害電波」の抑制に成功電気自動車(1/2 ページ)

東芝は早稲田大学と共同で、ワイヤレス充電システムを搭載したEVバスの実用化に向け実証走行を進めている。有線が不要であり、利便性の向上が期待されるワイヤレス充電システム。しかしその実用化に向けては無線通信を妨害する不要な電磁波を、電波法が定める許容値内まで抑制する必要があった。東芝はこのほどその抑制技術の開発に成功し、実証走行中のEVバスに導入した。

» 2016年09月07日 13時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 東芝は2016年9月、EV(電気自動車)バス用のワイヤレス急速充電システム向けに、妨害電波を抑制する技術を開発したと発表した。EVバス用のワイヤレス急速充電システムの実用化課題である無線通信を妨害する不要な電磁波の抑制が可能になった。

 現在のEVは、車両に充電器を挿して充電するのが一般的だ。しかし高頻度の充電を行う必要があるバスなどの場合、一日に多くの充電作業が必要になり、運用に手間が掛かる。そこで現在東芝は早稲田大学と共同で、こうした充電の手間を解消できるワイヤレス急速充電システムを採用したEVバスの実証走行を進めている(関連記事)。

図1 実証走行中のEVバスの外観。川崎市と羽田空港間を運行している 出典:東芝

 東芝が開発したワイヤレス急速充電システムは、周波数として85kHz(キロヘルツ)利用し、44kW(キロワット)の電力伝送を行う(図2)。こうした10kHz以上の高周波を利用する場合、電波法における高周波利用設備としての許可が必要となる。その申請においては、装置から放射される電磁波の大きさを、放送や他の無線通信を妨害しない許容値以下まで落とす必要がある。

 しかし東芝のワイヤレス急速充電システムから放射される電磁波の大きさは、送電電力に伴って大きくなるため、44kWの電力を送電すると許容値を10倍上回ってしまうという課題があった。

図2 開発したワイヤレス急速充電システム。道路に埋め込むように設置している 出典:東芝
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