新たな基本計画では発電に偏っている利用状況を改善するため、バイオマスを熱に転換して利用できる設備の導入と技術の確立に注力する方針だ。特にエネルギー効率の高いバイオガスの生産量を増やして、電力と熱の両方を供給できるコージェネレーション(熱電併給)型の設備を拡大していく。バイオガスは家畜の排せつ物をはじめ廃棄物系のバイオマスをメタン発酵させて製造できる(図4)。
未利用系のバイオマスでは木材の多段階活用を推進する。林地残材に加えて製材端材を木質チップや木質ペレットに加工したうえで、木質ボードや紙製品、電力と熱を生成する燃料としても利用していく。最近は全国に木質バイオマス発電プロジェクトが広がり、林地残材や製材端材をチップに加工して利用する取り組みが増えてきた。
木質バイオマス発電は2012年7月に開始した固定価格買取制度を機に急速に拡大している。林地残材を含む間伐材由来の木質バイオマスと製材端材などの一般木質バイオマスを合わせると、固定価格買取制度の認定を受けた発電設備の規模は累計で288万kW(キロワット)に達した(図5)。大型の原子力発電3基分に匹敵する。
認定を受けた木質バイオマス発電設備のうち、2016年2月までに全国の54カ所で運転を開始している。一方でバイオガス(メタン発酵ガス)を利用する発電設備も91カ所で運転中だ(図6)。
バイオガス発電では熱も供給できる設備が一般的になっている。さらに木質バイオマスでもガスを発生させて電力と熱を供給できるシステムを導入するケースが増え始めた。新しい基本計画のもとでバイオマスの熱利用が拡大していく見込みだ。
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