落雷で分かった火力発電停止の影響度エネルギー管理(1/2 ページ)

2016年9月8日に東海地域で発生した落雷によって、中部電力の送電線の一部が機能を停止。その影響で愛知県および岐阜県で合計36万世帯が停止した。これに伴い「碧南火力発電所」が運転を停止したことで電力不足が懸念され、広域機関が他の電力会社4社に対し電力融通を指示する事態となった。

» 2016年09月13日 13時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 2016年9月8日の午後12時53分、愛知県西三河方面、岐阜県岐阜、西濃および中濃方面の広範囲で大規模な停電が発生した。東海地域で発生した落雷によって、中部電力が管轄する送電線に障害が発生したためだ。

 落雷の被害を受けた送電線は「幸田碧南線」。中部電力が所有する大型の石炭火力「碧南(へきなん)火力発電所」で発電した電力を供給する役割を担っている27万5000V(ボルト)の送電線である(図1)。

図1 幸田碧南線の位置(赤枠で示した部分)出典:中部電力

 幸田碧南線は2つの回線を持つが、落雷でどちらも機能が停止した。それに伴い碧南火力発電所の1〜5号機も自動的に運転を停止している。こうした影響で電力系統の周波数が低下したことが大規模な停電につながった。

 具体的には愛知県内で約22万、岐阜県内約14戸、合計約36万世帯が約35分間にわたって停電した。また、周波数が低下した影響で、北陸新幹線に信号トラブルが発生。一部の列車の運行に遅延が生じるなどの影響があった。なお、同日には三重県の津市や亀山市でも落雷の影響による停電が発生している。

 こうした停電は同日中に全て解消した。しかしもう1つ電力需給大きな影響を与えたのが、幸田碧南線の停止に伴い碧南火力発電所の運転が止まったことだ。

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