静岡県の再生可能エネルギーは太陽光からバイオマスまで全方位に広がってきた。固定価格買取制度の認定を受けて運転を開始した設備の規模では、地熱以外の4種類が全国のトップテンに入っている(図12)。
太陽光発電では自動車メーカーのスズキが建設した「スズキ牧之原太陽光発電所」の規模が大きい。工場に隣接する46万平方メートルの用地に、11万枚の太陽光パネルを設置した(図13)。2016年4月に運転を開始して、年間の発電量は3220万kWhを見込んでいる。一般家庭の8900世帯分に匹敵する電力を供給できる。
このメガソーラーが立地する牧之原市は太平洋に面して、日射量が全国で最も多い場所である。市が率先して太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入を推進中だ。未来に向けて波力発電の候補地にもなっている。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトで、静岡市に本社がある協立電機が東海大学などと共同で「越波式波力発電システム」を開発中だ(図14)。港の防波堤に沿って発電装置を並べる方式で、装置の内部にプロペラを備えている。波が装置を乗り越えて中に落ちる勢いでプロペラが回って発電する。
実際の海域に波力発電システムを設置して実証実験に取り組む予定で、有力な候補地が牧之原市から隣の御前崎市にまたがる港湾地帯だ。全国各地にある大きな港には防波堤や突堤が設けられているため、実用化できれば海洋エネルギーを利用した発電設備として有望である(図15)。その第1弾が静岡県の港から始まる期待は大きい。
2015年版(22)静岡:「富士山と共存できる発電所を増やす、風力や地熱で観光と環境教育」
2014年版(22)静岡:「ふじのくにを潤す農業用水、米と野菜と電力も作る」
2013年版(22)静岡:「太平洋沿岸で風力発電を一気に加速、2020年の再エネ率を12%以上に」
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